開業届をオンラインで行う方法とは?
e-Taxのやり方・注意点等を税理士事務所が解説

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個人事業をスタートするときには、自分の商品やサービスをどうやって知ってもらうか、どうやって顧客を獲得するかが大きな課題です。かといって開業届の提出をうっかり忘れてしまうと後々大きなトラブルに発展する可能性があります。

いま、開業届はオンラインで提出することができます。本記事では、オンラインで開業届を提出する際に利用するe-Taxの利用方法や注意点やについて税理士事務所が解説していきます。

開業届をオンラインで提出するメリット・デメリット

開業する際に必要な開業届は、従来の税務署窓口や郵送での提出に加えて、e-Taxを利用したオンライン提出も可能になりました。オンライン提出は時間短縮という大きなメリットがある一方で、事前準備の複雑さやITスキルの必要性といった課題もあります。開業形態や個人のスキルレベルによっては、必ずしもオンライン提出が最適とは限りません。本章では開業届のオンライン提出における具体的なメリット・デメリットを詳しく解説します。

オンラインでの開業届提出最大のメリットは「時短」

開業届をオンラインで提出する最大のメリットは、自宅やオフィスから手軽に申請できる点です。税務署へ出向く必要がなく、郵送の手間も省けるため、時間を大幅に節約できます。e-Taxによるオンライン提出は24時間365日対応しており、忙しい方でも都合の良い時間に手続きを進めることが可能です。

また、オンラインで不備・入力漏れも確認できますので、間違いのない開業届提出が可能になります。

開業届のオンライン提出のために必要な事前準備

開業届をオンラインで提出するときにはいくつかの事前準備が必要です。まず、マイナンバーカードとその署名用電子証明書が必要です。パソコンから提出するためのICカードリーダライタも用意しなければなりません。

しかし、e-Taxソフト自体が税理士等が利用することが多く、e-Taxを初めて利用するような人にとっては、手続きの途中でつまずくことも考えられるため、事前準備やe-Tax操作を相談できる税理士等の専門家がそばにいた方が安心です。

関連サイト公的個人認証サービスポータルサイト「事前の準備

開業届のオンライン提出をあえて避けた方がいい場合もある

ある程度のITリテラシーがあり、一般的な開業形態であればオンライン提出の方が時間・労力共に大きな省力化が期待できます。反対に、開業形態が複雑であったり、青色申告や給与支払など他の届出が複数絡む場合には、税理士などの専門家のサポートを受けながら書面提出を検討する方が安心かつ時短に繋がることも多いようです。

つまり、ITが苦手な方の場合はオンライン申請することは時間の消費や正しい知識の不足によるトラブルの可能性が秘めていることから、デメリットとも言えるでしょう。オンラインでの開業届の申請に不安な場合は無料相談などを利用して専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。

開業届をe-Taxでオンライン提出する方法と事前準備

開業届のe-Tax提出は時間短縮のメリットがある一方で、初回利用時の設定や操作に戸惑う方も多いのが実情です。利用者識別番号の取得からe-Taxソフトのインストール、実際の開業届作成・送信まで、一連の手続きには複数のステップが必要です。本章ではe-Taxを使った開業届提出を解説し、初心者でもスムーズに手続きを完了できるよう、つまずきやすいポイントと注意事項を含めてご案内します。

はじめてe-Taxを利用する人は利用者識別番号の取得が必須

e-Taxで開業届を提出するための事前準備には、まず利用者識別番号の取得があります。この利用者識別番号(利用者ID)は、日本の国税電子申告・納税システムで使われる16桁の数字で、e-TaxソフトやWeb版e-Tax、会計ソフトなどで電子申告をする際の「ログインID」としても使われます。

国税庁のe-Taxポータルサイトで手続きを行い、申請用の番号を取得します。(税務署の窓口で本人確認を受けて取得することも可能です。)

関連サイトe-Tax「ご利用の流れ

パソコンを使って開業届をオンラインで提出してみましょう

続いてe-Taxソフトのインストールを行います。

関連サイトe-Tax「e-Taxソフトについて

1.e-Taxソフトをインストールする

インストールに際しては、対象となる税目を選択します。開業届の提出の場合は「所得税」を選択します。インストールが完了すると、デスクトップ上にe-Taxソフトのアイコンが表示されます。

2.開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を選択

ここまでは割とスムーズに進むことが多いと思いますが、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の場所を探すのには少し苦労するかもしれません。1/3画面で作成する申請書類を選択(今回は申請・届出Aを選択)します。作成する申告・税目では「所得税」を選択します。

1/3画面

2/3画面で左側のツリーを下にスクロールすると申請・申告等一覧の中から「個人事業の開業・廃業等届出書」が見つかります。

2/3画面

3/3画面では申請書に自分でタイトルを付けて必要な情報を入力します。これで情報は送信可能一覧に格納されますので、マイナンバーカードに付されている電子署名を行い、送信可能一覧画面から送信を行います。

3/3画面

このとき、開業届を提出した場合紙の控えは発行されないことには注意が必要です。代わりに、e-Taxのメッセージボックスに届く通知と送信した開業届のデータが控えの代わりとなるため、印刷するなどして保管しておくようにしましょう。

e-Taxで開業届をオンライン提出する際の注意点

開業届をe-Taxで提出する際は、事前準備だけでなく提出時の注意点も数多く存在します。電子証明書の有効期限切れやソフトの設定不備によるトラブル、提出期限や同時提出すべき書類の見落とし、さらには利用環境の制約まで、つまずくポイントが随所にあります。

また、提出後の控えの保管方法を誤ると、後の事業運営で困る場面も出てきます。本章では、e-Taxでの開業届提出における重要な注意点を網羅的に解説し、よくあるトラブルの回避方法から、より簡単な代替手段として注目されているクラウド会計ソフトの活用法まで解説します。

電子証明書の有効期限とe-Taxソフトの設定は必ずチェック

開業届のオンライン提出を進めるうえで、いくつか注意したい点があります。特に注意しておきたいのはマイナンバーカードにある電子証明書の有効期限切れです。電子証明書はマイナンバーカードに標準搭載されていますが、有効期限切れの場合は電子署名ができません。期限切れになっている場合は役所で更新手続きが必要です。

このほか、よくあるトラブルとして、「開業届が表示されない」「控えがダウンロードできない」「確認メールが届かない」といったケースがあります。これらは、e-Taxソフトのバージョンが古かったり、メール設定が誤っている場合に発生します。提出後に不安が残る場合は、税務署へ電話確認を行うことも可能です。その際には、受付番号を手元に控えておくとスムーズです。

開業届の提出は原則1ヶ月以内

開業届を提出する際には、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。まず、開業日は実際の業務開始日を記載し、提出はその日から1か月以内に行うのが原則です。

なお、開業日より過去の日付での提出、いわゆる「遡り提出」も一部可能ですが、青色申告承認申請などと絡むと不利になることがあるため、期限内に提出することを忘れないようにしましょう。

「青色申告承認申請書」の同時提出をお忘れなく

青色申告を希望する場合は、「青色申告承認申請書」も同時に提出することをおすすめします。屋号や事業内容については、できるだけ具体的に記載し、将来の事業拡大にも対応できるようにしておくと良いでしょう。また、給与支払事務所の開設届など、状況に応じて追加の提出書類が必要となる場合があります。

関連サイト国税庁「A1-8所得税の青色申告承認申請手続

提出後の控えは自分で保管する

開業届提出後の控えは、銀行での事業用口座開設や金融機関への融資申し込み、助成金の申請などの局面で「開業証明書」として必ず必要になりますので必ず保管しておきましょう。電子提出の場合でも、受付完了メールやPDF控えを保存しておくことが重要です。

スマートフォンやMacOSを使って開業届提出はできない

2025年5月現在、スマートフォンを使って開業届を提出することはできません。さらに、e-TaxソフトはMac OSにも対応していません。

freee・弥生・マネーフォワードなど会計ソフトを使った開業届の申請も検討を

「手元にパソコンもないし、時間もない。」

こんな時にはクラウド会計ソフトの活用がおすすめです。たとえばクラウド会計ソフトの代表格freeeでは、開業freeeという専用のサービスを使えば、質問形式で必要事項を入力し、そのまま電子申請まで行えます。マネーフォワード弥生会計でも、freee同様に開業届の作成と提出が可能なサービスがあり、それぞれ特有の強みを持っています。

これらのソフトは税理士との連携機能もあるため、将来的な帳簿作成や申告を視野に入れた導入もおすすめです。

開業届のオンライン提出でよくある質問

最後にオンライン提出に関するよくある質問をまとめます。

マイナンバーカードがないと開業届のオンライン提出はできませんか?

できません。開業届をオンラインで申請するときはマイナンバーカードと電子証明書は必須です。

開業届をオンラインで提出するとすぐに税務署に受理されますか?

開業届をe-Taxでオンライン申請した場合、申請データが税務署に到達したことは「受信通知」によって即時に確認できます。ただし、開業届の正式な処理(受理)については、税務署での確認作業が必要となるため、即日で完了するとは限りません。

開業届をe-Taxでオンライン申請した場合、控えなどは発行されますか?

e-Taxを利用してオンラインで開業届を提出した場合、紙の控え(受領印付きの開業届)は発行されません。オンラインで申請した際に配信される受信通知には、受付日時や受付番号などが記載されており、e-Taxのメッセージボックスで確認できます。また、開業届の控えが必要な場合に備え、受信通知や申請データを印刷して控えとして保管しておきましょう。

開業届提出後に住所や屋号が変わった場合はどうしますか?

「変更届出書」を別途提出する必要があります。

開業届は土日祝でも提出できますか?

はい、定期的なメンテナンス時間中を除きe-Taxは年中無休で稼働していますので申請の送信はいつでも可能です。

複雑な開業手続や経理処理は
廣瀬総合経営会計事務所へご相談ください

個人事業の開業届はオンラインで申請できます。しかし、初めてe-Taxソフトに触れる場合にはやや戸惑うこともあるかもしれません。個人事業をスタートするための大切な時間を開業手続のために費やすのももったいない話です。

廣瀬総合経営会計事務所は杉並で開業してから35年にわたり、地域密着で様々な事業者様を支援してまいりました。開業届のオンライン提出から青色申告の準備・手続き、帳簿作成・申告まで一貫してサポートしています。

また、freeeやマネーフォワードといった各種クラウド会計ソフトとの連携も可能な経理パートナー「Rakutto(らくっと)」の活用をご提案しており、自由度の高い会計処理と、実際の申告まで多くの経験豊かな税理士がしっかりと支援いたします。

はじめての開業で不安がある方や、煩雑な手続きをプロに任せたい方は、ぜひ当事務所にご相談ください。事務所はJR西荻窪駅・徒歩1分にあり、下記エリアを中心とした地域密着のサービスを展開しています。

当事務所の対応エリアは以下の通りです。

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