トランプ関税の最新情報【2026年7月版】今は何%?
税率一覧・日本への影響

コラム, 新着情報

「トランプ関税、結局今は何パーセントなんだろう」——2025年の発動以来、テレビや新聞で見聞きするたびに疑問に感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。2026年2月、米連邦最高裁判所がこれまでの関税の法的根拠を「違法」と判断し、その後導入された経過措置も2026年7月24日に期限切れを迎え、通商法301条に基づく新たな関税へと切り替わりました。日本への税率は12.5%に決定しており、この1年半で法的根拠・税率が3度にわたって変わったことになります。

本記事では、2026年7月24日時点で確定している最新の税率を国別・品目別に整理したうえで、最高裁判決から301条関税発動に至る経緯、実際に日本企業へ及んでいる影響、そして輸入コストの増加が資金繰りや税務処理にどう波及するかを、税理士事務所の視点から解説します。

301条関税はこれまでのIEEPA関税と異なり無効化された前例がなく、当面は現行の税率を前提とした事業計画が現実的になります。制度の変化を追いかけること自体を目的にするのではなく、「今後も変化しうる前提で、対応できる体制」を整えるための一つの材料として、ぜひ最後までご覧ください。

2026年7月現在トランプ関税は今どうなった?最新状況早わかり

「関税は今何パーセントなのか」「自社のビジネスにどう跳ね返るのか」——経営者の皆さまが知りたいのはこの2点に尽きるかと思います。まずは現時点(2026年7月)の全体像を一覧で押さえておきましょう。

項目 2026年7月時点の状況 経営への跳ね返り
日本への相互関税 通商法301条に基づき12.5%(2026年7月24日発動)。既存の関税との合計が12.5%を超えないよう軽減措置あり。自動車・鉄鋼・アルミニウム関税とは重複適用なし 業種によって影響の出方が異なるため、自社の該当品目が301条と他の関税のどちらの枠組みかを確認する必要あり
自動車・同部品 15%(232条・日米合意ベース、最高裁判決の影響なし) 比較的安定した税率。中期の価格・調達計画は立てやすい
鉄鋼・アルミ・銅 50%(232条、最高裁判決の対象外) 高止まりが続く前提でコスト計画を組む必要あり。ただし派生品は多くが25%に引き下げ済み
医薬品(特許) 日本等は一般関税率と合わせて上限15% 医薬品関連の輸入がある場合は個別確認が必須
法的根拠 IEEPA関税は最高裁で違法 → 通商法122条(〜7/24失効)→ 通商法301条へ移行(2026年7月24日発動)。301条は過去に無効化された前例なし 122条のような期限・税率上限がないため、「いずれ失効する」前提は使えなくなった点に注意

気を付けなくてはいけないのは、制度そのものがまだ「仮の姿」だということです。中小企業にとっては、目先の税率よりも「いつ・どう変わりうるか」を把握し、変化に対応できる体制を作っておくことのほうが重要です。

トランプ関税の時系列・経緯まとめ

トランプ関税発動〜現在までの推移

2025年4月、相互関税に関する最初のアナウンスメントからの出来事を並べてみると、以下のようになります。

時期 出来事
2025年4月 IEEPAを根拠とする「相互関税」発動(ベースライン10%+国別上乗せ)
2025年7月 日米関税合意。5,500億ドル規模の対米投資と引き換えに、自動車等を含め原則15%に抑制
2025年8月 232条に基づき銅の追加関税(50%)発動。鉄鋼・アルミは既に50%へ
2026年2月20日 米連邦最高裁がIEEPA関税を違法と判断
2026年2月24日 通商法122条に基づく代替関税を発動(150日間の時限措置)
2026年4月 232条の鉄鋼・アルミ・銅の派生品について関税率を一部引き下げ(多くが50%→25%)
2026年5月7日 米国際貿易裁判所(CIT)が122条関税自体も違法と判断
2026年5月8日 政権がCAFC(連邦巡回区控訴裁判所)へ控訴
2026年6月2日 USTRが301条調査結果を公表。日本含む60カ国・地域に最大12.5%の追加関税案
2026年7月23日 USTRが日本を含む60カ国・地域を対象とする301条関税の発動を正式発表。日本は12.5%に決定
2026年7月24日 122条関税(10%課徴金)が予定通り失効。同日午前0時1分(米東部時間)、301条に基づく新関税が発動

こうして並べると、関税制度はこの1年半で少なくとも4回、法的根拠そのものが変わっていることがわかります。中小企業の経営としては、「一度決まった税率がそのまま続く」という前提を持たないほうが安全です。

「相互関税」から「122条関税」への変化とは

これまでの相互関税は、大統領が非常事態を宣言すれば迅速に発動できるIEEPAを根拠としていましたが、最高裁は「関税を課す権限は議会にあり、IEEPAはそれを大統領に委譲していない」と判断しました。代わりに使われた通商法122条は、最長150日・上限15%という制約付きの規定です。

経営者として押さえておきたいのは、この122条関税自体もすでに下級審で違法と判断され、控訴審の結果待ちの状態だという点です。つまり「相互関税→122条関税」という切替えは根本的な不安定さを解消したものではなく、7月24日の期限をもって関税がなくなるとは限りませんでした。301条を根拠とした新たな関税に置き換わる可能性が高い、という前提で価格戦略・資金繰りを考えておいた方がよいでしょう。

国別・品目別トランプ関税は今何パーセント?
最新の税率一覧

【国別一覧】トランプ関税の各国・地域別の最新税率

国・地域 最新の税率状況
日本 自動車等は上限15%で合意(232条ベース)。加えて2026年7月24日発動の301条関税(強制労働対策)では、禁輸措置が未導入として12.5%区分に。ただしMFN関税との合計が12.5%を超えないよう調整される
EU 自動車等は上限15%で合意した品目が多い(232条ベース)。301条関税(強制労働対策)では、合計関税率の上限を10%に設定(日本より低い枠組み)
中国 IEEPA分は無効化。従来からの対中301条関税(最大25%程度)は継続。加えて2026年7月24日発動の強制労働対策301条関税でも12.5%区分に確定(両者の重複適用の有無は要確認)
カナダ・メキシコ フェンタニル関税(IEEPA根拠)は無効化。USMCA適合品は原則対象外。301条関税(2026年7月24日発動)ではカナダ・メキシコともに10%区分
英国 鉄鋼関連などで他国よりやや低い税率が設定されている品目あり。301条関税(強制労働対策)では10%区分

【品目別一覧】自動車・鉄鋼・食品・農産物などの最新税率

品目 税率
自動車・同部品 15%(232条、日米合意ベース)
鉄鋼・アルミ・銅(素材) 50%(232条)
鉄鋼・アルミ・銅の派生品 多くは25%に引き下げ(2026年4月?)。一部15%または対象除外
医薬品(特許) 日本等は上限15%、対象外の国・品目は100%の可能性
半導体 232条調査に基づく措置が進行中で、対象拡大の可能性あり
食品・農産物 一般関税率+301条関税(12.5%)が基本。ただし232条対象品目、米国内で調達困難な原材料、米国経済に混乱をもたらしうる製品などは301条関税の対象外
一般輸入品(上記に該当しない品目全般) 2026年7月24日発動の301条関税(強制労働対策)で12.5%。既存のMFN関税との合計が12.5%を超えないよう調整

日本の免税・除外品目一覧

USTRの官報(2026年7月23日付)で、通商法301条関税(強制労働対策)の適用除外として明記されているのは以下の通りです。

  1. 通商拡大法232条に基づく追加関税がすでに課されている品目(鉄鋼・アルミ・銅・自動車等)
  2. 米国内で十分な供給ができない原材料
  3. 米国経済全体に混乱を招きかねない製品
  4. 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則を満たし、無税で輸入される製品

具体的な対象品目は米国関税分類番号(HTSコード)別に官報の付属書に列挙されています。

これまで122条の下で関税がかからなかった品目(例:一般の医薬品・電子機器など)でも、301条には同種の一律除外規定がないため、新たに12.5%の対象になっている可能性があります。122条時代に「うちは対象外だった」と確認していた品目についても、301条移行後は改めて該当有無の確認をおすすめします。

関連サイト税関「実行関税率表

関連サイト経済産業省「米国関税対策ポータル

トランプ関税発令後、
実際に日本企業・経営に何が起きた?

輸出企業の実例(自動車業界の値上げ)

対米輸出企業の多くは、対米輸出価格の引き下げで関税分を吸収してきましたが限界に達し、自動車大手が相次いで値上げに踏み切った実例が見られます。

中小・下請け企業の利益率圧迫

輸出大手が価格転嫁に動く一方、部品や素材を供給する中小・下請け企業では取引価格への反映が遅れがちで、利益率の圧迫が長引く傾向があります。関税コストを「どこまで転嫁できるか」は取引先との力関係にも左右されるため、原価上昇分を数字で示しながら交渉できる体制づくりが重要です。

為替(円安・円高)との複合影響

関税による輸入コスト増と為替変動が同時に発生すると、資金繰りへの影響は一段と読みにくくなります。輸入原材料への依存度が高い事業者ほど、関税と為替の両方を織り込んだ資金繰り計画が欠かせません。

トランプ関税は違法?
最高裁判決の最新情報と今の法的状況

【裁判の経緯】最高裁がIEEPA関税を「違法」と判断(2026年2月)

2026年2月20日、米連邦最高裁判所は6対3の判断で、IEEPAが大統領に関税を課す権限を与えていないとして、同法を根拠とする関税賦課を違法としました。米国憲法上、関税を含む課税権限は連邦議会に属するというのが判決の骨子です。

無効となった関税の範囲

無効となったのはIEEPAを根拠とする関税に限られます。具体的には、日本を含む多くの国に課されていた相互関税や、中国・カナダ・メキシコ向けのいわゆるフェンタニル関税などです。一方、通商拡大法232条(鉄鋼・アルミ・銅・自動車等)や通商法301条(対中関税等)は判決の対象外で、引き続き有効です。

判決後どうなった?通商法122条を経て301条へ(2026年7月24日)

最高裁判決の当日、政権は通商法122条を根拠に全世界を対象とする代替関税の発動を発表しました(2026年2月24日発効)。122条関税は最長150日・上限15%という制約があり、期限は2026年7月24日でした。

実際に、2026年7月24日をもって122条関税は失効し、同日、USTRが6月2日に公表していた301条調査の結果に基づく新たな関税が発動しました。301条は第1次トランプ政権下で対中制裁の根拠として使われてきた実績があり、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税のように大統領権限の逸脱として無効化された前例はありません。この点で、301条関税はIEEPA関税・122条関税と比べて法的な安定性が高いとみられています。

ただし係争リスクが消えたわけではありません。USTRが7~9日に開いた公聴会では業界団体や外国政府から発動見送りを求める声が相次ぎ、オーストラリア政府は「301条に基づくいかなる措置も不当」と反発、スイス政府も同国の政策が米国に悪影響を与えた証拠はないと疑問を呈しています。標的となった企業が提訴に踏み切れば、再び訴訟の火種になる可能性があります。

支払済みの関税は戻る?関税還付の最新論点

IEEPA関税の無効化を受け、還付は着実に進んでいます。CBP(米国税関・国境警備局)は還付用の新システム「CAPE」を整備し、2026年4月20日からフェーズ1として段階的な還付申請の受付を開始、6月29日には追加の申請受付(フェーズ2)も始まりました。2026年7月13日時点で、IEEPA関税の徴収額約1,660億ドル(約26.9兆円)のうち、約70%分がCBPによる還付承認を完了し、約50%分は財務省による還付支払いの段階に進んでいます。

米国の大手企業ではすでに現金として還付を受け取った事例も出ています。一例として、ナイキは2026会計年度中に約3億ドルを受け取り済みで、今後さらに9億ドル台の還付を見込んでいます。フォードは約13億ドル、農機大手のディアは約2.7億ドル、食品大手のマコーミックは四半期で2,800万ドルの還付を受けたと発表しています。FedExも8億ドルの還付を受領済みで、顧客への還元を開始する予定と説明しています。一方で、還付を受け取った企業がその分を消費者や取引先にどこまで還元するかは各社の判断に委ねられており、還元しない企業に対する集団訴訟も一部で起きています。

ただし、還付の対象はIEEPA関税に限られ、232条(鉄鋼・アルミ・自動車・銅等)、301条(対中関税・今回の強制労働対策関税を含む)、AD/CVD(アンチダンピング・相殺関税)は還付の対象外です。また日本企業自体に還付請求権があるわけではなく、原則として米国側の輸入者(Importer of Record)が請求権を持つ点にも留意が必要です。米国に輸入子会社や現地パートナーがいる場合は、還付対象かどうか、また取引先(米国側の輸入者)が還付を受けた場合に自社への還元交渉の余地がないか、一度確認しておくとよいでしょう。

関連サイトJETRO「米税関、IEEPA関税の還付進捗を報告、約70%分にめど」(2026年7月13日)

税理士視点トランプ関税が中小企業の経営・税務に
今後も与える影響とは

輸入コストと「輸入消費税」への波及がある

関税は輸入消費税の課税標準に含まれるため、関税が上がればそれに連動して輸入消費税の負担も増えます。関税単体の値上がり幅だけでなく、消費税を含めたキャッシュアウトの総額で影響を把握することが、資金繰りを読み違えないための第一歩です。

価格転嫁と利益率・原価管理に影響がある

仕入コストの上昇分をどこまで販売価格へ転嫁できるかが、そのまま利益率を左右します。感覚的な値上げ判断ではなく、商品・取引先ごとに原価と粗利を「見える化」した上で優先順位をつけることが、限られた交渉力を最大限に活かすコツです。

301条関税への切替えで負担はどう変わるのか

一般関税率+10%だった122条関税から、原則12.5%の301条関税へ切り替わったことで、日本からの輸入品にかかる負担率は実質的にやや上昇しました。ただし「既存関税との合計で12.5%を超えない」という軽減措置により、自動車・鉄鋼・アルミニウムなど既に高い関税を負担している品目については、二重の負担増にはならない設計になっています。

中小企業にとって特に重要なのは、この301条関税が122条関税のような「時限措置」ではないという点です。122条は法律上150日という上限がありましたが、301条には期限も税率上限もありません。「いずれ失効する」という前提は使えなくなり、12.5%という負担が中長期的に続く可能性を織り込んだ価格戦略・資金繰り計画への切り替えが必要になります。

一方で、301条は過去に無効化された前例がなく、制度としての予測可能性はIEEPA関税・122条関税より高いとも言えます。「税率がいつ変わるかわからない」という不安定さはひとまず落ち着いたとみることもでき、その意味では中期の原価計画を立てやすい環境が整ったという前向きな捉え方もできます。

経理・会計処理の留意点

関税や輸入諸掛は、原則として商品の取得原価に算入します。「租税公課」で処理すると仕入原価の過少計上・利益の過大表示につながりやすく、税務調査でも指摘されやすいポイントです。輸入消費税は関税とは性質が異なり「仮払消費税等」で処理し、仕入税額控除の対象とします。この両者を混同しないよう、通関書類(輸入許可通知書等)で内訳を必ず確認する運用が望まれます。

また、今後IEEPA関税の還付を受ける企業では、還付金の税務上の取扱いにも注意が必要です。過去に取得原価へ算入し損金算入済みの関税相当額について還付を受けた場合、原則として還付を受けた事業年度の益金に算入することになります。関税還付の対象となり得る取引がある場合は、対象期間の申告内容を早めに洗い出しておくと安心です。

決算・資金繰りへの落とし込み方について

原価差異や売上総利益の変動は、決算書上でその要因(関税・為替・原材料価格のいずれによるものか)を分解して説明できるようにしておくと、金融機関への説明資料としても活用しやすくなります。為替差損益の処理や移転価格対応の要点とあわせて、関税還付(IEEPA無効化に伴う還付事例)が生じた場合の一時的な利益押し上げ効果についても、金融機関への説明の中で触れておくと誤解を防げます。

トランプ関税対策中小企業が今できる5つの備えとは?

ここまで見てきた通り、トランプ関税は制度自体がなお流動的で、税率や法的根拠がいつ変わってもおかしくない状況です。だからこそ重要なのは、「関税がいくらになるか」を予測することよりも、「関税がどう動いても対応できる状態」を今のうちに整えておくことです。以下では、中小企業が現実的に着手しやすい5つの備えを整理しました。

備え 具体的な取り組み 解説
1.調達ルート・仕入先の見直し 対米依存度の点検・分散 特定の輸入元・輸出先に偏った調達構造は、関税率の変更がそのままコストに直撃します。まずは自社の仕入・販売のうち米国関連が占める比率を可視化し、代替可能な国内・第三国の調達先がないか洗い出すことから始めます。
2.価格改定・値上げ交渉の準備 原価データの整備から 「なんとなく値上げしにくい」状態を避けるには、商品・取引先ごとの原価と粗利を数値で示せる資料が必要です。関税・為替・原材料費の上昇分を分解して提示できれば、取引先との交渉も感覚論ではなく事実ベースで進められます。
3.公的支援策・相談窓口の活用 経産省 米国関税対策ポータル/JETRO相談窓口/資金繰り支援策 中小企業向けの相談窓口や資金繰り支援策は随時更新されています。自社だけで情報収集を抱え込まず、公的機関の窓口を定期的にチェックし、利用できる制度がないか確認しておくと負担が軽減されます。
4.資金繰り計画の前倒し確認 影響が出る前の金融機関との対話 関税負担が資金繰りに響き始めてから金融機関に相談するのでは対応が後手に回ります。コスト増の見通しが立った段階で早めに金融機関へ状況を共有し、融資枠の確保や返済条件の相談を進めておくことが望ましいです。
5.サプライチェーン再編 調達先の分散、ASEAN・国内回帰の動き 中長期的には、対米一極集中の調達・販売構造そのものを見直す動きも重要です。ASEANなど第三国への分散や、国内回帰による関税リスクの遮断も選択肢として検討に値します。

限られた人員・体制の中小企業では、5つ全てに同時に着手するのは現実的ではありません。まずは「②価格改定・値上げ交渉の準備」の土台となる原価データの整備と、「4.資金繰り計画の前倒し確認」の2つから始めるだけでも、意思決定のスピードは大きく変わります。専門家への早めの相談も、対策の一つとして検討ください。

当事務所で扱ったご相談事例のご紹介

当事務所でも、輸入原材料を扱う事業者のお客様から「関税や円安で仕入が上がっているが、どこまで値上げすべきか判断できない」というご相談が増えています。

たとえば、ある食品関連の事業者のお客様のケースでは、輸入コストの上昇に加えて輸入消費税の負担も連動して増え、資金繰りの窮屈さが先に表面化しました。そこで当事務所では、1.商品グループ別に原価と粗利を「見える化」して値上げの優先順位を整理、2.納税・支払のスケジュールを月次資金繰り表に落とし込み、3.金融機関向けに「コスト上昇の要因分解」を示す説明資料を用意する、という順でご支援しました。

その結果、感覚ではなく数字に基づいた価格改定と資金確保を段階的に進めることができました。関税の問題は「いくら上がったか」だけでなく、消費税・資金繰り・金融機関対応まで連動して効いてきます。影響を数字で把握することが、あらゆる対策の出発点です。不安を抱えている場合はぜひ経験豊富な私たちにご相談ください。

トランプ関税は今後どうなる?
見通しと注目ポイント

トランプ関税の着地点と今後もウォッチすべき動きとは?

2026年7月24日、通商法122条関税(10%課徴金)は予定通り期限を迎えて失効しました。同日、USTRが6月に公表していた301条調査の結果に基づき、強制労働による製品の輸入禁止措置が不十分であることを理由とする新たな関税が発動されています。

日本は「禁輸措置を導入していない」との理由で、60カ国・地域の中でも税率が高い「12.5%」区分に分類されました。一方、カナダ・メキシコ・英国など17カ国・地域は「10%」区分となっています。なおEUは10%区分とは別枠で、他の関税との合計を10%上限に抑える独自の仕組みが取られています。

日本にとって重要なのは、既存の関税との合計が12.5%を超えないという軽減措置が盛り込まれた点です。これは相互関税が有効だった際にトランプ政権が約束していた「税負担の上限15%」の枠組みに代わるもので、上限そのものが12.5%に引き下げられた形になります。また自動車・鉄鋼・アルミニウム関税とは重複適用されないことも明記されており、業種によって影響の出方が異なる点に注意が必要です。

301条関税は無効化されない?

301条関税は過去に無効化された前例がなく、法的な安定性はIEEPA関税・122条関税より高いとみられています。とはいえ、係争リスクが消えたわけではありません。USTRが7〜9日に開いた公聴会では業界団体や外国政府から発動見送りを求める声が相次ぎ、オーストラリア政府は「301条に基づくいかなる措置も不当」と反発、スイス政府も自国の政策が米国に悪影響を与えた証拠はないと疑問を呈しています。標的となった企業が提訴に踏み切れば、再び訴訟の火種になる可能性があります。

通商面では、日本の12.5%という税率が既存の日米関税合意(自動車等の上限15%)とどう整合していくか、今後の運用を注視する必要があります。あわせて、2026年11月に予定される米国中間選挙を見据え、政権が関税政策をどう運営していくかという米国内政治の動向も、税率の緩和・強化双方に影響しうる要素です。

これらは日々細かく動くテーマのため、JETROの「ビジネス短信」や経済産業省「米国関税対策ポータル」を定期的に確認し、自社の取扱品目・取引国に関わる更新がないかをチェックする体制を持っておくことをおすすめします。

関連サイトJETRO「ビジネス短信

関連サイト経済産業省「米国関税対策ポータル

トランプ関税に関するよくある質問

Q1. 輸入時に支払った米国の追加関税は、日本の法人税法上どの勘定科目で処理し、いつ損金算入できますか?

関税は「租税公課」ではなく「仕入高」(売上原価)として処理します。関税は商品を仕入れるために直接かかった費用なので、税金の科目である租税公課に入れてしまうと、仕入原価が実態より低く、利益が実態より高く表示されてしまいます。税務調査でも指摘されやすいポイントです。

損金になるタイミングにも注意が必要です。関税を支払った時点ですぐ費用になるわけではなく、その商品が売れて売上原価になったときに、はじめて損金として計上されます。期末に在庫として残っている商品にかかった関税分は、在庫の取得原価の一部として翌期に繰り越され、当期の損金にはなりません。関税負担が重いほど、在庫に眠っている関税額も大きくなる点は覚えておいてください。

なお、輸入時には関税とあわせて輸入消費税もかかりますが、こちらは扱いが異なり「仮払消費税等」で処理し、消費税の申告で仕入税額控除の対象になります。関税と輸入消費税を混同すると仕入税額控除を受け損なうおそれがあるので、輸入許可通知書などで内訳を必ず確認しましょう。

Q2. 業績悪化局面で活用を検討すべき欠損金の繰戻し還付制度は、関税影響による赤字にも適用できますか。適用要件と留意点は?

関税負担の増加で当期が赤字(欠損)になった場合、「欠損金の繰戻しによる還付」という制度を使える可能性があります。これは、当期の赤字を前期(黒字だった年度)に繰り戻し、前期に納めた法人税の一部を還付してもらう制度です。赤字の原因が関税かどうかは問われません。翌期以降の黒字と相殺する「繰越控除」と違い、手元資金をすぐに取り戻せる点が、資金繰りが厳しいときの大きなメリットです。

利用にあたっては、主に次の点を確認してください。

  • 原則として中小企業者等(資本金1億円以下等)が対象で、大企業は適用が制限されることがある
  • 前期・当期ともに青色申告書を提出していること
  • 欠損が出た年度の確定申告書と同時に、還付請求書を提出すること

要件や対象範囲は税制改正で変わることがあるため、実際に使えるかどうかは必ず最新の規定と自社の状況で確認してください。

注意点もあります。繰戻し還付を選ぶと税務署の調査が入ることがある点、そして前期がそもそも赤字だった場合は取り戻す税額がなく効果が出ない点です。また、関税による影響が一時的なものか、今後も続くものかによって、「今すぐ繰り戻して還付を受ける」のと「繰り越して将来の黒字と相殺する」のとで、有利さが変わってきます。自社のキャッシュフローの状況とあわせて、顧問税理士と方針を相談することをおすすめします。

まとめ変化の激しい環境でも意思決定を止めないために

トランプ関税は、2026年2月の最高裁判決、そして7月24日の122条から301条への移行を経て、日本向けの税率は12.5%に確定しました。301条には期限や税率上限がなく、この12.5%が中長期的な前提になる可能性が高い一方、過去に無効化された前例がない分、これまでより予測可能性の高い制度に落ち着いたとも言えます。中小企業にとって大切なのは、この12.5%を前提とした原価・資金繰り・金融機関対応の体制を、今のうちに整えておくことです。

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大きく変化する市場に対し、経営者としてどう向き合うか。かつてない環境の中、考え、決断するのは経営者の重要なミッションであることには間違いありませんが、極めて重たい作業であることも事実です。関税・為替の変動を織り込んだ価格戦略の策定や、資金繰りを見据えた金融機関対応など、経営者のなすべきことはこうした環境の中でも山積みです。意思決定を行う際、頼れる相談相手やパートナーがいることはとても大きな支えになります。

廣瀬総合経営会計事務所は開業して30年以来、地域密着で様々な事業者様を支援してまいりました。多くの経験豊かな税理士が記帳・確定申告をはじめとする法人の決算に関する支援はもちろん、税務調査対応に備えた経理・証拠書類の整備、税務リスクと戦略的なコストコントロールのアドバイスも承っています。また、各分野に精通した専門家とも連携し、経営に関して起こりうる様々な課題への対処方法についても一括サポート可能です。決算・税金に関するご相談に限らず、経営全般に関する様々なご相談も承っていますので、お気軽にご相談ください。

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2026年、米国の関税政策は法的根拠そのものが二転三転し、企業の予測可能性を揺さぶり続けています。中小企業や個人事業主の皆様にとっても、こうした国際的な政策変化は決して他人事ではありません。外部環境の変化に強い経営体制を構築するためにも、ぜひ専門家と連携しながら戦略的に備えていきましょう。

初回利用者向けの無料相談会も開催しておりますので、まずは一度お気軽にお問い合わせくださいませ。

本記事の内容は2026年7月28日時点の情報です。関税を巡る制度は今後も変更される可能性がありますので、最新情報は公的機関の発表等でご確認ください。

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