フリーランス保護新法に抵触する恐れあり?
新法成立で変わるフリーランスとの取引

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス保護新法」)が2023年4月28日に国会で可決・成立しました。

新法は相対的に弱い立場にあるとされるフリーランス事業者を保護し、取引トラブルを防ぎ、フリーランスがより働きやすい環境を整備していくことを目的に制定されたものです。

従来からフリーランスに業務を外注したり、社内で協業するケースもあったと思いますが、今後のフリーランスとの取引においては、新法の趣旨・内容を踏まえた取引が求められるようになります。

この記事では発注者側がうっかり法令違反に踏み込んでしまうことのないように、新法の内容について分りやすく解説していきます。

フリーランス保護新法が成立した背景と概要

そもそも、フリーランスの定義とは?

フリーランスとは、会社や団体などに所属せず、仕事に応じて自由に契約する人のことを指します。

法律上の定義こそないものの、主にライターやカメラマン、デザイナー、プログラマーなどの職種において、個人で仕事をしている人を指すことが一般的です。(似たような表現である「個人事業主」もフリーランスと同義とすることもありますが、税務署に開業届を提出していている個人が、事業を営む上での税務上の区分としての取り扱いと整理されています。)

フリーランスには法人化している個人、いわゆる「1人社長」と言われる人もフリーランスに含まれます。

フリーランスの人口と経済規模は大きく増加中

ランサーズが公表した『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』でも、フリーランスの人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円であり、2015年対比その人口は68.3%(2015年:640万人)、経済規模は62.7%(2015年:9.2兆円)と人口・経済規模ともに大きく増加していることが見て取れる結果となっています。

フリーランスを取り巻く法整備について

フリーランスには「労働基準法」などの労働法規が適用されません。例えば「最低賃金」「労働時間」「休日」「有給休暇」「労働災害での補償」など、会社に勤める人を保護する規定からフリーランスは対象外となります。

また、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の適用可否は、フリーランス側の従業員数や発注者側の資本金額によって左右されるため、実質的に下請けの立場であったとしても法律上の保護は限定的な取り扱いに留まることが多いと言えます。

このように取引面だけでなく、法整備面でも相対的に弱い立場にあるフリーランスを守るために成立したのが、今回の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス保護新法」)」です。

フリーランスとの取引でよくある
トラブル3選とフリーランス保護新法

その1 業務発注は口約束だけではダメ!業務委託内容の書面による事前明示

フリーランスへの発注は口約束・SNSでのやり取りが中心で、契約書を取り交わしていないといったことはありませんか?もちろん、口頭での「お願いします」「承りました」というやりとりでも、契約の申込みの意思表示と受諾の意思表示が合致したといえますので、法律上は口頭で契約が成立します。

ただ、口約束やSNSでのやり取りのみの場合、報酬額や委託期間があいまいになりがちなことから、報酬支払いや業務内容について「言った・言わない」のトラブルに発展するケースが多いことが指摘されていました。そして、トラブルに発展した際には立場の弱いフリーランス側が泣き寝入りするケースも少なくありませんでした。

今回のフリーランス保護新法では、業務委託内容・取引条件の書面による事前明示が明文化されました。また、その内容は双方が記録として参照できる形(契約書、発注書、メール、チャットなど)で残すことも求められています。

書面には求められるアウトプットを明示するとともに、報酬の支払時期も明示し、「納品時期」、「業務委託内容」、「報酬」、といった部分を網羅することが求められるようになります。これはフリーランス同士の取引でも必要と定められており、今後の業務発注においては注意が必要です。

その2報酬が未払い・遅れて支払われる!業務報酬の60日以内の支払いルール

フリーランス保護新法では、発注者はフリーランスが業務を完了・納品してから60日以内に報酬を支払う必要があることが明示されました。

また、支払いが期日までになされたとしても、報酬の減額、返品、通常相場と比較した際の著しく低い報酬の額を設定すること、なども法令違反になってしまいます。

長い取引実績があり、資金繰りの都合もあるから多少の報酬支払の遅れや減額には目をつぶってくれるはず、とタカをくくるのは絶対避けましょう。

また、報酬支払とは直接関係しませんが、フリーランスの責めに帰すべき理由がないにも関わらず成果物の受領を拒否することや、正当な理由のない自己の指定する物品の購入・役務の利用の強制、フリーランスの責めに帰すべき事由のない内容の変更ややり直しによりフリーランスの利益を不当に害する行為なども禁止されています。

その3当初発注を受けた仕事の内容と違う!フリーランス募集・発注時の情報表示

クラウドソーシングのようなマッチングプラットフォームや掲示板などにフリーランス向けに業務発注広告を出したり、掲載されているフリーランスに対し仕事のオファーをするケースも増えていると思います。

こうしたサービスは発注者が求めるスキルを持つフリーランスとスピーディーにつながることができる極めて便利な仕組みですが、一方で当初の業務内容と異なる仕事を指示されたとしてトラブルに発展するケースも少なくないようです。

フリーランス保護新法施行後はこうしたプラットフォーム等に発注者が掲載する業務内容は最新の内容にし、実際の発注内容と齟齬がないように整備しておくことが求められます。

時間経過とともに掲載内容が陳腐化している状態は、法令違反に繋がる可能性があることを意識しておく必要があります。よくあるトラブル事例としてフリーランス保護新法で明示された代表的な事案を3点ご紹介しましたが、これら以外にもフリーランス保護新法では様々な新しいルールが設けられています。従来の商慣行からつい漏らしがちな点もあるので経営者としては注意が必要です。

中でも、「育児介護等への配慮」や「ハラスメント対策の周知」といったこれまでフリーランスへの業務発注の際、気にかけることの少なかった就業環境整備の面においても、一定の配慮が必要となります。

また、継続的業務委託を中途解除する際の通知についても、契約の中途解除の30日前までの事前予告が求められるようになるなど、新法施行までに発注者側としても体制を整えることが必要になります。

フリーランス保護法に違反するとどうなる?
罰則規定と対策

フリーランス保護新法に違反すると罰金!お金以上のものを失うリスクも

今回成立したフリーランス保護新法には罰則規定も設けられており、違反すると50万円以下の罰金を科される可能性があります。罰金の額だけ見ると、大したことではないと思う方もいるかもしれませんが、フリーランス保護新法に違反した場合の影響・デメリットは罰金の額には収まりません。

何よりも築き上げてきた会社の信用・ブランドイメージが棄損することこそが最大のデメリットといえます。フリーランス側から申し出があった際には、公正取引委員会の調査に発展するケースもあり得ます。

仮に、公正取引委員会が必要性を認めたときは行政指導を受け、違反と認定されれば勧告となります。もしその勧告に従わなければ命令に引き上げられ、この場合社名が公表されてしまいます。

もし、悪い形で社名が広まってしまった場合、取引や求人に支障が出るのはもちろん、社員の離脱にまで発展することも容易に想像できます。

実際には発注者側に非がなくても、公正取引委員会の調査があったというだけでもブランドイメージが棄損されることは十分想定できます。業務を外注する企業の経営者としてフリーランス保護新法は絶対に抑えておかなくてはならない法律といえます。

どこに任せると安心?安心して任せられる外注先の確保は必須

増えるフリーランス人口と比例して発生するトラブル件数も増加していることが今回のフリーランス保護新法制定の背景にあるのは言うまでもありません。実際、記帳や経費精算といった経理業務は外部に委託するケースは増えてきています。

社内で経理専門の社員を雇用し教育するには一定の労力を要することに加え、雇用の流動化を背景に担当者の退職リスクに備えるための社内体制整備も検討する経営者も増えているようです。

また、1人社長やスタートアップの場合、製品・サービスの開発とプロモーションこそが最重要業務であり、バックオフィス業務に時間を割くことは極めて難しいと言わざるを得ません。安定的な経理・バックオフィス業務を任せつつコストダウンを図るためには実績のある経理代行サービスを使うのも一手です。

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