売掛金管理の仕方を総合会計事務所が解説

自社の商品やサービスを取引先に販売した代金は一旦売掛金として処理します。そして、後日まとめて支払いを受け取る場合に重要になるのが売掛金の管理です。これを怠ると売掛金を回収できずに、経営に影響を及ぼす恐れもあります。売掛金管理のポイントについて見てみましょう。

売上の回収までが営業の基本。
日頃から支払期日を確認しておく

会社の根幹である、売上に関する業務はそれぞれの会社によって様々ですが、会社間の取引についてはおおむね次の流れになります.

  1. 取引先から商品やサービスの注文を受ける
  2. 注文を受けた商品やサービスを取引先に納品する
  3. 取引先へ代金の請求をする
  4. 取引先から代金を回収する

特に売上目標が与えられている営業部門は、1・2・3の業務に集中しがちです。営業部門の仕事は、4の代金が回収されたかを確認するまでと心得ましょう。

売上の回収が遅れたり、回収できないまま滞留してしまうと、運転資金がショートするなど経営全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。日頃の売掛金管理を徹底し、売掛金の回収もれをなくしましょう。

取引先ごとの約定を把握しておく

会社間の継続的な取引の場合、例えば「末日締切、翌月20日支払」など締切日と支払日、振込や手形などの支払方法を含めた約定が決められています。

取引先ごとの約定を把握しておくことが大切です。単発の取引で代金回収が後になる場合も取引先の支払約定を確認したうえで、請求書に「○○日までのお振込みをお願いします」などの表記を入れておきましょう。

売掛金台帳などで管理する

入金が確認されたら、取引先はどこで、どの取引の入金なのか、請求金額と入金された金額が合っているか、入金された日は約定通りなのか、などを売掛金台帳によって管理します。

売掛金台帳がきちんと整備されていれば取引先の与信管理にも役立ちます。例えば、TKCのFXシリーズでは、売掛金を取引先別や約定日ごとに管理することが可能です。

なぜ売掛金が回収できないのか?その原因を分析しよう

「売掛金が回収できないこと」には、なんらかの理由があるはずです。その原因を探り、問題を解決することが回収の決め手になります。

自社のミスによって回収が遅延している場合

未回収が発生した場合、まず確認すべきは自社内のミスです。

自社のミスの例

  1. 請求書の発送もれや請求もれ
  2. 営業担当者による請求書の渡し忘れ
  3. 納品した商品・サービスに問題がある

1.2が原因の場合は、速やかに取引先に請求書を渡すとともに、再発防止策を打たなければなりません。

3が原因で、売掛金の回収ができない場合は、代金回収以前に、自社の信用にも関わる重大な問題として、会社全体で対応に当たらなければなりません。

商品やサービスの不具合を丁寧に聞き取り、交換や修繕、再サービスなど誠意をもって対応し、相手側の不満を完全に解消したうえで代金の回収を行います。

取引先が検収基準を取っている場合

自社からの納品は済んでいるものの取引先の検収が済んでいないため、代金の回収に至らないケースがあります。この場合は、未検収について、検収予定を確認するなどによって確実に代金回収ができるよう心掛けましょう。決算日における未検収品は、当社の在庫として計上する必要があるので注意が必要です。

取引先のミスによる場合

取引先の経理処理上のミスで単に支払いが遅れているケースも考えられます。故意に支払いを拒んでいるのでなければ、取引先の担当者へメールや電話でその旨を確認すればよいでしょう。

取引先が支払できない状況にある場合

取引先の業績が厳しく回収が困難な場合もあります。その場合は、まず取引先の状況をしっかり把握したうえで、回収を長期化させないため次のような対応を検討しましょう。

  1. 売上減少が一過性のものであれば支払期日を翌月に延ばす
  2. 売上減少が当分続くことが見込まれる場合は、請求金額を分割にする

いずれにしても、日頃から取引先とコミュニケーションを図っておくことが重要です。

TKCのFXクラウドシリーズで売掛金の回収状況を得意先別に管理できます!

TKCの会計ソフト「FXクラウドシリーズ」では、売掛金の回収状況を得意先別に管理することが可能です。取引先別に、売掛金の前月末残高、当月の発生高(借方)と回収高(貸方)、当月末残高や構成比などを確認することができます。詳しくは当事務所にご相談ください。