金が史上最高値!
金投資の魅力と押さえておきたい3つのポイント
金の国内小売価格が、2023年8月に史上初の1グラム1万円の大台を突破し、本記事執筆時点(2024年7月8日)には円安の影響もあり1グラム13,469円に達しています。この機会に金への投資を始めたり、売却を検討している人も多いかもしれません。
本記事では資産としての金の特徴と取引に関して押さえておきたいポイントを税理士事務所が分かりやすく解説していきます。
なぜ金投資が注目を浴びているのか
金投資の魅力と特徴
希少性が生む資産価値と換金性の高さ
投資には株や債券、不動産など様々な投資対象があります。そうした中で、あえて金が投資先として選ばれて続けいる背景には金が持つ「希少性・換金性」が挙げられます。そもそも金は地球上に存在する量や算出される量が少ないことに加え、その見た目の美しさから装飾品として使われることも多くあります。
また、金はその加工しやすさや熱伝導性の高さから我々が普段使っているスマホや家電といった工業製品にも多く使われています。さらに、金は取引市場が活発であることから、現物資産としては換金性が高いということも大きな特徴の一つです。
安全性の高さとインフレへの強さ
「有事の金」という言葉があるように、戦争や自然災害の発生、自国通貨への信認が低下したときなど、資産を保全する手段として金が力を発揮するということはよく知られています。
また、株式や債券が発行体(国・企業)の破綻で無価値になる「信用リスク」を持つのに対し、現物資産である金は破綻という概念がなく、無価値になる可能性は極めて低いといえます。
さらに、金はインフレに強い資産としても知られています。インフレ情勢下では現金の価値が相対的に下落することはよく知られており、インフレに強い金資産を保有することで購買力を維持する効果が得られます。
世界的にインフレ傾向が強まる中、日本国内でも徐々にその傾向がみられ始めています。このあたりも金価格の上昇の一因と考えられそうです。次に実際に金投資を行う際に抑えておきたいポイントをみていきましょう。
ポイントその1金に投資する方法は複数ある
現物購入による金投資
「金に投資する、金を保有している」といった場合に真っ先に思い浮かべるのが、「金塊(インゴット)」ではないでしょうか。金地金や金貨といった現物を購入することで金を購入することを現物購入(取引)といいます。
専用口座開設も不要で、現金取引ですぐ始められる手軽さがある一方で、偽物をつかまされるリスクもゼロではありません。そのため、購入に際しては一定の評価がある業者選定を行う必要があります。
また、金の現物投資は自宅保管などによる紛失・盗難リスクとも無縁ではありません。管理に対する一定の労力が発生することも勘案して投資する必要があります。
投資信託・ETF(上場投資信託)を通じた金投資
金先物を投資対象とする投資信託やETF(上場投資信託)を購入することでも金投資を行うことができます。日々変化する金価格が即座に反映されるため、タイミングを逃さず売買できることが最大のメリットです。
投資信託・ETF(上場投資信託)ともに売買に際しては証券会社などで口座を開設する必要がありますが、少額から始めることもできることも魅力の一つです。
CFD取引、デリバティブ取引等の先物を活用した金投資
金先物取引はあらかじめ定められた将来の売買日に取引時点の価格で金を購入(売却)する方法です。将来の決済日時点で金の価格が購入時よりも価格が上昇していればその差金を利益として受け取ることができます。(逆に売却から入った場合は価格が下落していればその差金を受け取ることができます)
こうした先物取引においてはレバレッジをかけ、手持ち資金の最大20倍程度の取引も可能です。金先物取引は大きなリターンが期待できる反面、損失もかけたレバレッジ分大きくなるため、ハイリスクかつ長期的な投資には不向きな投資手法といえます。
金関連株への投資を通じた金投資
金を扱うメーカー・商社、金鉱山を所有・経営する会社の株式を購入することで間接的に金投資を行う方法です。一般に金を扱う上場会社の株価は金価格と連動する傾向が強く、金価格上昇の恩恵を受けることが期待できます。
ETF(上場投資信託)と同じく、証券口座を持っていればすぐ取引を始めることができ、リアルタイムで売買することが可能です。
ポイントその2金への投資にはリスクもある
価格のトレンド/金価格はいつも右肩上がりとは限らない
このグラフは2000年以降の金価格(USドル建価格)の推移を表したものです。
田中貴金属社データをもとに筆者が作成
確かに2000年と比べて大きく価格が上昇しているのは間違いないのですが、2012年から2019年(赤枠)にかけては低迷していることが見て取れます。
また、この期間が米国での金利低下局面にあたることも注目ポイントのひとつといえます。安全資産と言われる金ですが、常に右肩上がりとは限らず市場環境に応じて上昇・下落するリスク資産であることは踏まえておく必要があります。
金投資に係るコスト/購入・保有・売却時に発生するコスト
金への投資は株式投資や不動産購入と同じく、購入・保有・売却、それぞれのタイミングでコストがかかります。
特に金貨・金塊の現物を取引する先には、売買手数料に加えて売値と買値との間に差(スプレッド)がかかるほか、保管を業者にゆだねる場合には保管手数料もかかることは押さえておきたいところです。
また、自宅で保管する場合でも、金をむき出しのまま置いておくわけにはいきません。盗難リスクを軽減するためにも耐火金庫(小型金庫で3~10万円程度)を購入する、銀行などの貸金庫(年間手数料2~5万円程度)を利用するなどのコストは十分理解しておく必要があります。
一方、金鉱株や金ETF(上場投資信託)で金投資を行う場合は、通常の株式の取引と同じく売買時にかかる手数料と定率の信託報酬(ETFの場合)こそかかるものの、売買・年間の管理手数料等も現物取引と比べ割安と感じることが多いようです。
その3金取引と税金の関係
金地金や金ETFを売却したときの課税関係と支払調書
金取引においては、購入・売却に係るコストに加え、利益が出た場合には税金が発生します。金取引等で利益が出た場合などは忘れずに申告するようにしましょう。
金取引方法別課税方式と支払調書の発行基準
金現物取引 | 金ETF・投資信託 | 金先物・デリバティブ | |
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売却時の税区分 | 譲渡所得(総合課税) | 譲渡所得(分離課税) | 雑所得 |
税率等 |
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支払調書の発行 |
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横スクロールで表全体が閲覧できます
また、取引額等に応じて支払事業者(証券会社や金地金取引業者)から税務署に取引状況を報告する「支払調書」が発行されることがあります。税務署はこの支払調書をもとに取引内容を把握していると考えた方がよいでしょう。
逆に、損失が出た場合は他の所得と通算したり、損失を繰り越すことも可能な場合がありますので、確定申告を行うメリットは大きいといえます。
金地金や金ETFを相続したときの課税関係
金地金、金ETF・投資信託いずれも、相続税の課税対象になります。相続が発生したときには他の財産も含めて遺産総額額を計算し、基礎控除額を超える部分について相続税が課税されます。金地金、金ETF・当信託の評価額はいずれも相続開始時点の時価(相続時の相場)を基に算出されます。
ただ、リスク性資産である金の価格は日々変動するため、相続開始日(被相続人の死亡日)の金価格を確認することが重要です。また、相続人が相続した金や金ETFを後日売却する場合、譲渡所得税が課税されますが、相続時の金地金の評価額が取得費として引き継がれます。
時価評価額は相続税の申告のみならず、相続後の売却に際しても基準となるため、相続時には正確な評価額を確認し、証憑を保存するようにしましょう。
金を売却・相続したときの税務申告は
専門家に相談しましょう
その安全性やインフレへの抵抗力の強さから金への投資は魅力が高まってきているといえます。しかし、取引方法によってはやや複雑な課税関係になるため、売買、相続ともに一般的な税務申告に比べるとややハードルが高くなるといえます。
また、金現物を事業者から購入する時には消費税がかかり、売却時には消費税を受け取るなど、金現物取引固有の課税関係も存在します。スムーズな申告・納税を行うためには税理士をはじめとする専門家のアドバイスがあった方がよいでしょう。
廣瀬総合経営会計事務所は経験豊かな税理士、行政書士、FPなどが在籍しており、金取引をはじめとする資産税に関する様々なご相談に加え、相続に関する相談をお受けしています。また、各分野に精通した専門家とも連携し、税金に関して起こりうる様々なトラブルへの対処方法へのアドバイスから申告・税務調査への対応まで一括サポート可能です。
また、事務所はJR西荻窪駅徒歩一分の場所にありアクセスも便利です。金の譲渡や相続など資産関連の税金に関する疑問やお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。当事務所の対応エリアは以下の通りです。
廣瀬総合経営会計事務所・相続相談の対応エリア
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