相続税の払い過ぎに気づいたらどうする?
相続税還付の期限と時効を解説
相続発生からはやはや1年。期限内に申告・納税も済ませて、やれやれ・・・と思っていたら、ふと気になることが・・・。
「これって相続税納めすぎかもしれない?」
相続税が過少であったため、のちの税務調査等で追加納税が発生することもある一方、多く納付したために納付した相続税の還付が受けられるケースも少なからずあります。
この記事では相続税還付の実態や還付申請のポイント、相続手続きを安心して任せられる専門家の見極め方などについて分りやすく解説していきます。
令和3年度国税庁統計年報から見た
相続税の還付状況
相続税は4番目に税収額が大きな税目
相続税を税目別の構成比でみると、相続税は所得税、法人税、消費税に続く第4番目に大きな税目で、国税の税収のうち4.1%を占める税目です。
相続、令和3年中に相続が開始した相続等で財産を取得し、相続税の納税が発生した人(相続人)の数は410,784人、亡くなった人(被相続人)の数は169,670人おり、相続税の課税価格は20兆3,978億円、実際の相続税の納付税額は2兆4,440億円でした。
令和3年度に還付された相続税は約15億円
このうち相続税の納めすぎによる還付を受けた人の数は589人、還付額の合計は1,483百万でした。
納税者のうち実際に還付を受けた人41万人に対する割合は約0.15%と小さく見えるかもしれませんが、税務調査等の結果追徴されるケースの多い相続税で、一人当たり250万円の還付があったということは、注目に値する事実といえます。
出典国税庁「第147回国税庁統計年報書 令和3年度版」
相続税還付はこうして生まれる
理由その1 税務署は相続税の払い過ぎを教えてくれない
相続税還付が生まれる1番目の理由は、税務署の基本スタンスです。相続税は相続人の申告に基づいた納税が行われるため、税務署は基本スタンスとして相続税の納めすぎを指摘することはありません。
さらに、納税から少し経ったあとにある税務調査では税務署は追徴の可能性だけを見てきますので、税務調査においても納めすぎかどうかを税務署が教えてくれることはありません。
いずれのタイミングにおいても税務署は相続税の払い過ぎと還付申告について教えてくれることはなく、自分で気付き行動することがポイントになるといえます。
理由その2相続税評価の難しい相続財産もある
2番目の理由は相続財産の中に、評価の難しい財産が含まれるケースです。
中でも土地の評価は難易度が高いとされ、土地の形状や利用形態、周囲の状況等によって評価額が大きく変わってしまうことにっ加え、その評価額を減額する様々な特例措置が用意されているためです。
このように書類上の記載事項だけでは土地の適正な評価額を算出するのは難しく、相続税の申告・納税を行った後、改めて土地の評価を再度行った結果、一旦計算した相続税額が過大であったたことが判明することで、還付申告が発生します。
理由その3相続税還付は意図的に発生させることもある
3番目の理由は、申告期限に間に合わせるために意図的に多目に納税しているケースです。不動産に代表される評価が難しい財産がある場合は専門家の鑑定を行い、様々な特例の活用を検討する必要があります。
それ以外にも親族間での分割協議がまとまっていない状態が長く続いた場合など、整わないまま申告期限を迎えてしまうような場合もあります。
ペナルティが課せられる過少申告や延滞になることを避けつつ、期限内に申告・納税を終わらせるためにいったん意図的に安全目・多めの納税を行っておき、あとで相続税還付の際の税還付を行うケースで相続税還付が発生します。
理由その4相続税の申告経験に不慣れな税理士も多い
4番目の理由は相続税の申告に不慣れな税理士も少なからずいることです。
全国で約8万人いるといわれる税理士の多くは、法人や個人事業主をクライアントとした法人税や消費税の申告をメイン業務としていることが多く、相続税に精通した税理士の数は限られているといわざるを得ません。
こうした相続税申告に不慣れな税理士が、評価計算が複雑な土地の絡んだ相続税の計算をすると、評価減となる要素や特例を見落としてしまった結果、相続税を納め過ぎてしまう事例が発生してしまい、あとで相続税還付が発生する原因となるようです。
押さえておきたい相続税還付申請のポイント
相続税の還付請求の期限は申告期限から5年以内
相続税の還付について押さえておきたい第一のポイントは申請期限です。そもそもの相続税の申告期限は相続の開始を知った日(通常は相続発生日)の翌日から10か月以内です。
この10か月間に相続税の時効期限である5年間を加えた5年10ヶ月以内が相続税の還付請求の期限となります。前段で示したような還付につながる要素がある人は早めに専門家への相談を検討した方がよいでしょう。
相続税の還付請求は1回だけとは限らない
相続税の還付請求は申告期限から5年以内であれば何度でも行うことができます。
極めて珍しいケースではありますが、過去に一度、更正の請求をして相続税還付を受けたことある人でも、更に計算に間違いがあったことがわかったような場合は、2回目の還付の請求を行うことも可能とされています。
また、還付請求は税務調査が入ったあとでも可能です。税務調査は、相続税の過少申告や申告漏れなど、追加納税に繋がる指摘が目的です。結果として相続税の追加納税が発生した結果、納税額が増加することになります。
この税務調査後に、もともとの計算基礎に誤りがあることが分かり、還付請求をすれば税額が増えることもないため、還付を受けられる可能性が高くなります。
相続税の還付請求に際して他の相続人の同意は不要
相続税の還付請求は相続人ごとに請求することが可能です。そのため、還付申請をする際に相続人全員の同意は不要です。
安心して相続税申告が任せられる税理士の見極め方
相性とスムーズなコミュニケーション
相続税申告の相談では、普通は他人には打ち明けないような家族の事情も含めて共有することが求められます。また、相続税の申告は長期戦になることもあり、税理士との相性の良し悪しは相続税の申告を委ねる時には大きな要素になります。
相続税の申告は一生のうちに1~2回しかないイベントです。それを委ねるならば、税理士との間にスムーズなコミュニケーションが築け、相性が合うことが欠かせません。
もし、税理士に実際に合ってみたら事務的な対応に終始し、相談したいけれど気軽に連絡を取るのは気兼ねがあると感じるようなら、依頼を避けた方がよいでしょう。
得意・専門領域の確認と相続税申告の実績
長い付き合いのある顧問税理士がいたとしても必ずしもその人が相続税申告を得意領域としているとは限りません。前述した通り、全ての税理士が相続税申告を得意としているわけではないからです。
相続税を得意分野としている税理士事務所であれば、そのことをホームページに掲載しているはずです。まずホームページを確認してみましょう。
その上で、実際に面談した際にも得意・専門領域を尋ねた上で、ストレートに過去の相続税申告実績を聞いてみるとよいでしょう。
近隣業界・専門家との協力関係が充実している
相続税の申告に際しては債務を含む全ての相続財産の評価を行わなくてはなりません。中には複雑な形状の不動産や権利関係が複雑な不動産の場合、税理士であっても明確な評価額が出せない場合もあります。
そうした場合は不動産鑑定士や土地家屋調査士といった不動産評価の専門家と協業することが一般的です。
また、申告後の登記変更手続きをサポートするために司法書士と連携することも多くあります。こうした近隣業界の専門家との協力関係が築けている税理士事務所であれば相続にまつわる一連の手続きを安心して任せられます。
相続税申告は当事務所にお任せください
相続税申告を得意にしており、実績も豊富な税理士事務所であれば、事前の相続対策や遺言作成のサポートも依頼することができます。また、申告後に発生する可能性のある税務調査にも対応してもらえます。
廣瀬総合経営会計事務所では杉並・中野相続サポートセンターの運営母体として経験豊かな税理士、行政書士、FPなどが在籍しており、相続に関する様々なご相談をお受けしています。
また、各分野に精通した専門家とも連携し、相続に関して起こりうる事前の対策・申告や様々なトラブルへの対処方法へのアドバイスからまで一括サポート可能です。
初回利用者向けの無料相談会も開催しておりますので、相続対策をこれから検討する場合に限らず、既に相続が発生しこれから相続に関する一連の作業がスタートするときはぜひお気軽にご相談ください。
当事務所の対応エリアは以下の通りです。