おひとり様が老後に直面する課題
元気なうちに取るべき対策とは?

ひとり焼き肉、ひとり飲み、ひとりバーベキューといった「ひとり」があたまにつく楽しいアクティビティは年々増加しています。この背景には年々増加しているといわれる「おひとりさま」とも関係性が深いのではないでしょうか。

確かに、おひとりさまにはひとりで気ままな人生を送ることができる、という大きなメリットがある一方で、老後を迎えたときに直面する固有の課題もあります。

この記事では様々なおひとりさまのタイプとおひとりさまが健康なうちに考えておきたい3つの課題とその対策についてわかりやすく解説していきます。

今回のポイント

  1. 単身者だけがおひとりさまとは限らない?おひとりさま予備軍になるのはどんな人?
    1. 子供のいない夫婦・事実婚の夫婦
    2. 兄弟(姉妹)はいるけど関係性が希薄なケース
  2. 課題その1「身元保証人はどうする?」
    1. 身元保証人が必要になる時ってこんな時
    2. 身元保証人はだれに頼む?
  3. 課題その2「財産の管理はどうする?任意後見契約と財産管理等委任契約」
    1. 判断力が低下したときに活用できる 任意後見契約
    2. 心身が健康なうちから活用できる 財産管理(委任)契約
    3. 任意後見契約と財産管理(委任)契約 は健康度合いに応じて使い分け
  4. 課題その3「死後事務委任契約(生前契約)はどうする?」
    1. 死後直ちに発生する事務手続きとはどんなものがある?
    2. 死後事務を委任できる人はどんな人?
  5. おひとりさまの相続相談は当事務所におまかせください

単身者だけがおひとりさまとは限らない?
おひとりさま予備軍になるのはどんな人?

「おひとりさま」は一般に配偶者がいない単身者を指す言葉としてよく用いられていますが、純粋な単身者以外にもおひとりさま予備軍といわれる層もあります。

子供のいない夫婦・事実婚の夫婦

まず第一に子供のいない夫婦はおひとりさま予備軍といってよいでしょう。夫婦が同時に死亡することがなければ必ず残されたパートナーはおひとりさまになるからです。

現実におひとりさまになった場合は、諸々の対策をひとりで考えなくてはならず、自身の老後・死後の手続きや財産の処分方法をあらかじめ検討していないと戸惑うことが十分に予想できます。

また、法律上の婚姻関係にないいわゆる「事実婚」や「同性パートナー同士」の場合は、遺言等がなければ財産を受け取ることができないため、相続面でも事前に対策を検討しておく必要があります。

兄弟(姉妹)はいるけど関係性が希薄なケース

第二に兄弟(姉妹)はいるけど疎遠、もしくは既に死亡しているような場合もおひとりさま予備軍といってよいでしょう。配偶者・子供がおらず、実父母も既に死亡しているような場合は、兄弟姉妹が法定相続人になります。

また、兄弟姉妹が既に死亡しているような場合は、甥や姪といった兄弟姉妹の子供が代襲相続人となります。

中には、疎遠な兄弟姉妹に遺産を渡したくないような場合もあります。その場合、自身の老後・死後の手続きや財産の処分方法などあらかじめ遺言等の形で残しておく必要があります。

課題その1身元保証人はどうする?

身元保証人が必要になる時ってこんな時

一般に身元保証人が必要になるケースは、会社に入社するときや賃貸物件に入居する際です。これをおひとりさまの老後に置き換えると、「入院」「介護施設への入居」のタイミングがあてはまります。

施設側からすれば、身元保証人は費用等の回収に備えた担保としての位置づけであることに加え、医療行為への同意取り付け、入院・入所中におひとり様が亡くなった場合などの緊急連絡先としての役割も担うことになります。

身元保証人はだれに頼む?

まず身元保証人になれるのは、一般に「入院(入所)する方と生計を別にする成人」となっていることが一般的です。

通常は家族以外の親族の方にお願いするケースが多いのですが、おひとりさまの場合この親族がいない、またはいたとしても疎遠なこともあり、保証人を頼める人がいない状況に陥いる可能性があります。

実際には医師法に基づく通達などもあり、身元保証人がいないことを理由に入院・入所を拒否されるケースは少なくなってきていますが、入院時などに自分をサポートしてくれる存在があるに越したことはありません。

元気なうちから、疎遠だった兄弟や甥姪との関係性を回復させたり、健康なうちに身元保証サービスを提供する民間会社・NPO法人などの情報を収集しておくことは将来を考える上で有効な対策といえます。

課題その2財産の管理はどうする?
任意後見契約と財産管理等委任契約

おひとりさまが老後に抱える課題2つ目は財産、中でもお金の管理です。心身ともに元気なうちは気にする必要がないのですが、ケガや病気などで身体や認知機能の低下が進んだ際には、お金を巡るトラブルに巻き込まれる可能性も少なくありません。

判断力が低下したときに活用できる 任意後見契約

判断力が低下したときの財産管理や身上監護(生活・医療・介護などに関する契約や手続き)を可能にするのが「任意後見契約」です。

不動産や預貯金等の財産を管理したり、ご本人の希望や身体の状態、生活の様子等を考慮して、必要な福祉サービスや医療が受けられるよう、利用契約の締結や医療費の支払などを行ったりします。

親族等からの申し出を受け、家庭裁判所での後見等の開始の審判を経て活用される「法定後見制度」に対し、「任意後見契約」は本人が選んだ後見人「受任者」との間で任意後見契約を締結して行うものです。

任意後見と法定後見とでは任意後見契約の方が優先されるとされており、おひとりさまが将来の財産管理をしっかり行い、トラブルを回避できるようにするためには任意後見契約は検討の余地のある手段の一つといえます。

一方で、任意後見契約がスタートすると、後見人を監督する立場として任意後見監督人が設定されるため、支払う報酬が任意後見人・任意後見監督人の双方に発生することは踏まえておく必要があります。

心身が健康なうちから活用できる 財産管理(委任)契約

任意後見契約を結ぶほどではないにせよ、年齢を重ねると心身の健康状態が低下していくのは間違いありません。その場合、親族や友人など信頼できる人に、財産の管理や病院、福祉サービスなどの利用手続きを委ねることができ、その契約を財産管理(委任)契約といいます。

成年後見制度が判断能力の低下を前提とした制度であるのに対し、財産管理(委任)契約は判断能力の低下を前提としてはいないため、心身が健康な段階から利用することができます。

また、親族や友人知人だけでなく、弁護士や行政書士といった専門家に依頼することも可能です。そのため、おひとりさまが心身ともに健康な段階で財産管理(委任)契約を結んでおくことは将来の不安を軽減できる面でメリットが大きいといえます

ただし、財産管理(委任)契約は、手術や延命治療といった医療行為に関する同意権や、法定後見制度にある契約の取消権は認められていませんので注意が必要です。

また、受任者の資格要件などは設けられていませんが、相応の負担感を伴う業務であるため、費用は発生するものの信頼できる専門家に依頼することも検討の余地があるといえます。

任意後見契約と財産管理(委任)契約 は健康度合いに応じて使い分け

判断能力が十分ある間は財産管理(委任)契約を利用し、判断能力の低下がみられるようになった後は任意後見契約に移行するというように、財産管理(委任)契約は、任意後見契約とセットで利用することも可能です。

しかし、家庭裁判所で選ばれた監督人が置かれる任意後見契約と異なり、財産管理(委任)契約は委任者であるおひとりさま自身が受任者を監督する必要があります。

もし、受任者による不正行為を見抜けなかったような場合、財産を失う可能性も出てきます。費用こそかかるものの、財産管理契約においても第三者の監督人を置くことも検討に値するといえます。

課題その3死後事務委任契約(生前契約)はどうする?

死後事務委任契約とは、生前のうちに、亡くなったあと病院の支払いや、老人ホーム、家賃、役所への事務手続き、葬儀、納骨、埋葬等について委任しておく契約で生前契約とも呼ばれます。

こうした手続きは死後事務と呼ばれ、費用こそ掛かかるものの、第三者に委任することができます。

おひとりさまの場合、自分の死後の時手続を委ねられる親族がいないケースもあり得るため、元気なうちから検討の余地があるといえます。

死後直ちに発生する事務手続きとはどんなものがある?

おひとりさまが亡くなったあとには、病院の支払いや、老人ホーム、家賃、役所への事務手続き、葬儀、納骨、埋葬等多くの事務手続きが発生し、それらを誰かが担わなくてはなりません。

死後直ちに発生する事務手続きの代表例

病院・介護施設関連の手続き 病院・介護施設の退院・退所手続き
施設内の遺品整理など
社会保険・税金関連の手続き 健康保険、年金の資格抹消手続き・住民税、固定資産税の納税手続き
公共料金解約・清算手続きなど
住宅・銀行関連の手続き 賃貸住宅等の契約解除・清算 ・鍵引渡し
銀行への届出 クレジットカードの解約・清算手続きなど
葬儀関連の手続き 葬儀・火葬に関する手続き
納骨・永代供養に関する手続きなど

遺言等がある場合にはこれら以外にも遺言の執行や準確定申告・相続税の納付なども発生する場合もあります。

死後事務を委任できる人はどんな人?

財産管理(委任)契約同様、死後事務委任契約の受任者にも資格のようなものは特に必要ありません。そのため、親族や友人や知人に頼めるようでしたらそれでも問題ありません。

しかし、死後事務委任契約に基づく委任事務が履行される時には、当然ですが委任者は既に亡くなっています。

契約内容のとおりにきちんと履行されることをしっかり担保するためにも、信頼のおける行政書士、司法書士、弁護士などの法律家や専門業者を受任者として選任した方が安心度は高まるでしょう。

おひとりさまの相続相談は
当事務所におまかせください

今回の記事ではおひとりさまに焦点を当てて健康なうちに検討しておきたい3つの課題について解説してきました。

しかし、実際にはおひとりさまの中には自身の財産は親族以外に寄付をする、事実婚や同性パートナーに残すなど様々な希望があるのではないでしょうか。

こうした願いを死後に実現するためには遺言が欠かせません。更に、遺言の実効性と信頼性を確保するためには遺言は公正証書遺言の方がよいでしょう。

公正証書遺言は厳格な書式が定められている一方、個人が作成するのはやや難易度が高いと言えます。専門家の力を借りて準備を進める方がより高い安心が得られます。

廣瀬総合経営会計事務所は杉並・中野相続サポートセンターの運営母体として、長年にわたり地域のお客様の遺言・相続に関するサポートを行ってきています。

経験豊かな税理士、行政書士、FPなどが在籍しており、相続税に関する様々なご相談以外にも、税金全般に関する相談をお受けしています。また、各分野に精通した専門家とも連携し、税金に関して起こりうる様々なトラブルへの対処方法へのアドバイスから記帳・申告まで一括サポート可能です。

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