FX取引と税金の関係を税理士事務所が解説

2011年10月には1ドル75円32銭だった対米ドルの為替レートは、2024年5月に一時1米ドルあたり160円にまで達しました。円安による弊害を指摘する声も少なくない一方で、FX取引(外国為替証拠金取引)を通じて大きな収益を得た人もいるのではないでしょうか。

この記事ではFX取引の基本と税金との関係について税理士事務所が分かりやすく解説していきます。

FX取引で押さえておきたい3つのポイント

FX取引の利益には2種類ある/為替差益とスワップポイント

FX取引で利益を得る方法は2種類あります。表にまとめると以下のようになります。

為替差益(キャピタルゲイン) スワップポイント(金利収入)
通貨ペアの買値と売値の差額により差益を得る方法。キャピタルゲインとも。 通貨ペア国の金利差から派生するスワップポイントを得る方法。インカムゲインとも。

まず一つ目の方法は為替差益を得る方法です。FXでは2つの通貨の交換が取引の基本となります。

この2つの通貨は「ペア」と呼ばれ、日本で最も取引高の多い米ドルと日本円は「米ドル/円ペア」と言われます。この通貨ペアの買値と売値の差額により差益を得ることで為替差益が得られるため、キャピタルゲインとも言われます。

1米ドル100円のタイミングで100万円で米ドルを買う  →  1米ドル150円のタイミングで日本円に戻す

上記の図は1米ドル100円のタイミングで100万円を投資した際のイメージ図です。

投資したタイミングよりも円の価値が下がって米ドルが高くなった(円安)タイミングで円に戻すと、当初投資した100万円と日本円に戻した時の差額50万円の為替差益がキャピタルゲインとして得られることになります。

もちろん、逆のケースもあり得ます。投資したタイミングよりも円の価値が上がって米ドルが安くなった(円高)タイミングで円に戻すと、為替差損が発生しマイナスのリターンとなります。

FX取引でリターンを得る方法の2つ目はスワップポイントを得ることです。2つの通貨の金利差によって発生し得られる利益のことをスワップポイントと呼ばれ、あたかも株式の配当のような形で得ることができることからインカムゲインとも呼ばれます。

金利の低い通貨を売り、金利の高い通貨を買うことでその通貨ペアを保有している期間スワップポイントを日々得ることができます。

いま足元では日本円に対して米ドルの金利が高いため、「米ドル(買)/円(売)ペア」のポジションを保持しているだけで、日々スワップポイントが得られます。

逆に高金利通貨を売って、低金利通貨を買ったような場合には、このスワップポイントを投資家が負担する必要があります。この場合、そのポジションを持ち続けている間スワップポイントの支払が生じてしまいます。

FX取引ができる場所は2か所ある/くりっく365と店頭FX

FX取引は24時間取引が行われており、主に電話やコンピューターを使った売買が殆どです。

取引ができる場所は大きく分けて2か所あり、そのうち、「くりっく365」は金融商品取引業としての様々な基準を満たしている業者を経由し、不特定多数の投資家と取引を行う公的な取引として2005年に発足しました。

関連サイト外国為替証拠金取引「くりっく365

「くりっく365」の取引は金融商品取引法に基づき免許を受けた金融商品取引所で行うため、価格の透明性も高くスプレッド(通貨の売り・買い間の差)も変動します。また市場参加者が多いため流動性が高く、スワップポイント等の取引条件も業者間で同一となっています。

一方で、最小取引単位は1万通貨単位とやや高く、(一部の通貨ペアは最小10万通貨)少額から始めたい初心者には少しハードルが高くなっているという見方もできます。

これに対し「店頭FX」は投資家とFX業者との相対取引となります。クリック365よりも小口の取引に対応している業者も多く、少額の取引からスタートしたい場合など使い勝手がよくなっています。

各社間で異なるスプレッドが設けられていることはもちろん、スワップポイントや手数料といった提供されるサービス等にも業者間で差が生まれます。

FX取引はレバレッジをかけた取引ができる/証拠金取引

FX取引は一般に「外国為替証拠金取引」と呼ばれ、預け入れした資金の何倍も大きな取引が行える「証拠金取引」もできます。梃子(レバレッジ)を使えば重たいものを持ち上げることが可能なことからレバレッジ取引とも呼ばれます。

この場合の証拠金とはFX会社に預け入れる資金のことであり、取引を行うために必要な担保のようなものです。手元資金のみで外貨を購入し売却してリターンを得ることも可能ですが、証拠金取引を行うことで手元資金の最大25倍のレバレッジ取引を行うことも可能です。

レバレッジ取引のイメージ

このレバレッジをかけた投資資金は主にFX業者からの借入金になります。借入金ですので、もちろん金利がかかります。その上で手元資金の25倍の取引を行うわけですから、儲かったときのリターンが25倍になる一方で、損をした時のロスも25倍になります。

そのため、FXの証拠金取引は高リスクの取引と言えます。資産増加のスピードアップと損の拡大は表裏一体であることを十分踏まえて投資する必要があります。

また、FX取引は証拠金取引ですが、差金決済取引の一種でもあります。差金決済取引とは、売買の対象となる資産(通貨や代金)の受け渡しは行わず、決済時の売買により生じた損益(差額)のみを口座内で受け渡す取引を指します。

FX取引と確定申告

FX取引による所得は「先物取引に係る雑所得」に分類される

FXの所得は、税法上は「先物取引に係る雑所得等」として扱われ、申告分離課税として給与所得や事業所得などとは分けて課税されます。

また、株式取引とは違って、FX業者が源泉徴収してくれる仕組みがありませんので、FXで一定以上の利益を得た場合は自身で確定申告を行う必要があります。これは「くりっく365」と「店頭FX」ともに同一の取り扱いとなっています。確定申告が必要となる利益額は年間20万円超となっています。

ここでいう利益額とは所得を指しますので、FXで収入を得るのにかかった必要経費を指し引いた金額が20万円を超えるかどうかで確定申告の要否が決まります。

雑所得にかかる税率は、法令によって一律20.315%(内訳:所得税:15.0% 住民税:5.0% 復興特別所得税:0.315%)と定められています。

なお、雑所得は給与所得や退職所得以外の所得の合計になるため、たとえばFXで10万円、副業で20万円の所得があったというような場合も、確定申告が必要になりますのでご注意ください。

FX取引で損したときにあえて確定申告するメリット

年間でFX取引で20万円を超える所得があった場合は確定申告が必須なのに対して、損失が出た場合には確定申告を行う義務がありません。

ただ、損を被った場合でもあえて確定申告することで得られるメリットもあります。FXで損失が出た場合、確定申告を行うと損失を最大3年後まで繰り越して「先物取引に係る雑所得等」の利益と相殺することができます。

また、複数のFX業者との取引実績がある場合などはそれらの損益を合算することでFXによる利益と損失との相殺が可能になります。繰越や通算を使えば課税対象額が少なくなり、節税に繋がる可能性があります。

FX取引で認められる必要経費と注意点

FX取引において経費として認められる例

FX取引関連の支払手数料 資金移動に係る手数料、注文時に発生する取引手数料、借入金に対する金利
パソコン・タブレットおよびネット関連費用 FXに利用しているパソコン・タブレット・スマホなどの端末や、モニター・キーボード・充電器などの関連する周辺機器
書籍・セミナー費用 FXに関する情報収集のための本や新聞、勉強会やセミナーの費用(参加費・交通費・宿泊費など)

これら以外にも、家賃、光熱費、自宅の固定資産税なども経費とし認められる可能性がありますが、客観的な事実に基づきプライベートで使った分とを区分する必要があります。

また、FX取引に関する経費として認めてもらうためには、FX取引との関連性や支払いの事実を客観的に証明する必要があります。そのための証憑(領収書、レシート等)の保存・記録も忘れずに行いましょう。

FX取引の確定申告で迷ったときは
専門家に相談しましょう

「15万円のパソコンを買って、FX取引をしているのですが、経費で落とせますか?」

経費はお金を払った年分に計上するのが原則ですが、1組10万円以上のものは分割して経費にしなくてはなりません。このように、FX取引に係る経費になるかどうか、いくらを経費とすべきかの判断に迷うケースもあると思います。

また、FX取引には株式のように特定口座の制度がないため、FX取引で20万円以上の利益を得た場合は確定申告が必須であることに加え、マイナスリターンとなった年でもあえて確定申告をすることで得られるメリットも多くあります。

わずか数秒の差で大きな利益を得ることも可能なFX取引は時間との闘いともいわれます。確定申告等の煩わしさから解き放たれ、限られた時間の中でトレードでより大きな成果を出すためには、税理士等の専門家を頼るのも一手です。

廣瀬総合経営会計事務所では経験豊かな税理士、行政書士、FPなどが在籍しており、FXや先物取引をはじめとする資産税に関する様々なご相談に加え、相続に関する相談をお受けしています。また、各分野に精通した専門家とも連携し、税金に関して起こりうる様々なトラブルへの対処方法へのアドバイスから記帳・申告まで一括サポート可能です。

FX取引のみならず株式の譲渡や不動産の譲渡など資産関連の税金に関する疑問やお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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