法人カードでたまったポイントの上手な使い方と
経理処理を分かりやすく解説

法人カードとは仕入をはじめとする事業に係る経費の支払いを目的としたクレジットカードで、多くの場合使った金額に応じてポイントやマイルが貯まります。

法人カードは個人カードと比べ利用限度額が高めに設定されているため、毎月の利用金額も高く設定されています。また、社員にも発行可能なため個人カードに比べポイントが貯まりやすくなります。

こうしてたまったポイントは上手に使うことで、ビジネスの発展にも活用できます。この記事では法人クレジットカード(法人クレカ)でたまったポイント効果的な活用方法と注意点経理処理などについてわかりやすく解説していきます。

法人クレカでたまったポイントはこう使う
上手な活用方法3選

その1消耗品・備品の購入に充て、経費を節減する

法人クレカでたまったポイントの活用方法の1番目は会社で使う備品や消耗品の購入に充てることです。ポイントは毎月一定額溜まっていきますので、コピー用紙やプリンターインクなど定期的に必ず購入する必要がある文具等をあらかじめ購入し、ストックしておくことも有効な活用方法です。

会社の環境アップのために、加湿器や電子レンジといった家電を購入しても社員に喜ばれることでしょう。ポイントは値引きとして経理処理することもできますので、結果として法人の経費削減につながり、社員のモチベーション向上を通じた業績拡大に役立つことが見込めます。

その2社員へのお祝いや表彰の費用として社員に還元する

法人クレカでたまったポイントの活用方法の2番目は社員に還元して使うことです。懇親会の余興で使うちょっとした景品等をポイントで購入し、社長賞や新人賞として提供すれば社員のモチベーションも上がり、業績拡大の追い風となる効果も期待できます。

中には金券に交換できるポイントもありますので、全社員を対象とした表彰規定をつくり、入賞した従業員の表彰やお祝いとして渡すのも効果的です。

その3マイルに交換し、出張費・旅費に充当する

ポイントの中にはJALやANAなどが発行元となるマイルに交換できるものもあります。交換したマイルは航空券の購入やホテルの宿泊などに利用することが可能です。JALやANAが定めているマイルの利用規約には、マイルは会員(個人)に付与することと明記されています。

しかし、法人カードは会社名義であり、年会費や利用額を支払っているのは会社です。そのため、社員が社用ではなく私的な目的でマイルを費消することは禁止するルールを作っておいた方が安全です。社用で費消する場合もマイルの利用用途や使う際の申請方法を社内規定で明記するなどして社員にも周知しておいた方がよいでしょう。

法人クレカのポイントと経理処理

法人クレカのポイントが付与された時の課税と経理処理

ポイントが付与された時点で経理処理を行う必要はありませんし、課税されることもありません。法人クレカで得たポイントは使う・使わないがポイントの保有者である法人に委ねられていることや、中には一定の期間で失効するポイントもあるため、付与時点では何の処理も行いません。

また、使わず累積されたポイントがいくらあったとしてもその残高に対して課税されることはなく、消費税においても不課税取引、すなわち消費税対象外の取引とされています。

法人クレカのポイントでサービス・物品購入した時の経理処理

ポイントの経理処理は物品・サービスの購入に対し、ポイントを充当した時に初めて発生します。

国税庁では、法人クレカで得たポイントを使用するときに「両建処理」または「値引処理」で経理処理を行うとしており、両建処理を行う場合はポイント使用前の金額とポイントの使用額を雑収入として、値引き処理を行う場合はポイント使用後の金額のみを計上することになります。

会社で使う文房具(10,000円)を購入するために支払の一部に法人クレカで得たポイント(3,000円)を充当したケースで見てみましょう。

両建処理を行う場合の仕分け

借方 貸方
消耗品 10,000円 未払金 7,000円
雑収入 3,000円

値引処理を行う場合の仕分け

借方 貸方
消耗品 7,000円 未払金 7,000円

法人クレカのポイントを使うときに
気を付けておきたいこと

法人クレカでたまったポイントは社長や社員が個人で使えるの?

ポイントが溜まっているカードの名義人が法人である以上、ポイントの所有者も法人とするのが自然です。そのため、社長=法人オーナーである場合、社長がポイントを私的利用したとしても問題になることは今のところありません。

一方、法人が所有するポイントを従業員が私的に利用するのは問題があると考えられます。たとえポイントとは言え会社の所有物を無断で使ってしまったということは、下手をすると社内処分だけでは済まず業務上横領として犯罪に問われる可能性すらあります。

法人クレカで得たポイントの使用ルールは社内規定等で明文化すべし

とはいえ、従業員がポイントを使って会社備品を購入するケースもあり得ます。また、出張先での客先接待をともなう飲食や宿泊費の一部としてポイントを費消することも十分あり得ます。

こうした使い方は会社の業績進展や経費節減にもつながる話ですから、従業員がポイントを使うことを一律に制限するのも難しい話です。

しかし、法人クレカのポイントをうっかり私的利用してしまう従業員や、中には悪意をもってポイントを私的利用する従業員が現れる可能性もゼロではありません。

そうした事態を防ぐためには、ポイント費消に関する社内規定等を作成し、従業員にポイントの位置付けや具体的な費消範囲、経理処理方法などをあらかじめ周知しておいた方がよいでしょう。

また、社員カードにはポイントを貯めさせず、社長が所持する大元のカード(親カード)へのポイントを取りまとめる設定しておくこともうっかり費消や悪意の費消を防ぐための一手といえます。

社長のポイントの使い方は見られている

前段で社長=法人オーナーである場合は従業員とは異なり、社長が法人クレカのポイントを私的利用したとしても問題になることは今のところない、とお伝えしました。これはあくまでも法律や税制面から見た場合の話です。

コンプライアンスや社内統制の面から見た場合は別の見方があります。従業員をはじめとするステークホルダーから、「社長は法人クレカでたまったポイントで家族旅行に行っている。」と見られたらどうなるでしょう。

従業員は表立って何か言うことは無いかもしれませんが、社長に対して不信感を抱いた結果、士気低下に繋がってしまうリスクは十分あります。

また、ポイントを費消した際には経理処理が必要になります。経理担当者は社長が私的にポイントを使ったことが明らかな領収書等を見たらどう思うでしょうか。

たとえ社長であってもポイントの使い方は社員から見られているという意識を持ち、ポイントを使う場合には従業員をはじめとしたステークホルダーに喜ばれることや会社の経費節減のために使うのがよいでしょう。仮に私的に使うときでもきちんと説明できる明朗な使い方に留めたておいた方が無難です。

従業員に知られずに
社長がポイントを使うにはどうすればいい?

とはいえ、法人にたまったポイントを余らせたままにしておいたり、失効させてしまうのはもったいない話です。さらに、ポイントには金利が付きません。ポイントを長く寝かしておいてもそのポイントがポイントを生むことはありません。

そんな時には経理業務のアウトソーシングも検討してみてはどうでしょう。経理業務をアウトソースすれば、社内で従業員が経理処理を行う必要がなくなるため、社長も従業員に気兼ねなくポイントを使うことができるようになります。

廣瀬総合経営会計事務所では「経理パートナーRakutto(らくっと)」を運営しており、様々なクラウドサービスとの連携により、経理業務をはじめとする様々なバックオフィス業務を低コストでアウトソースすることが可能です。

経理業務をアウトソースできれば、社長自身が気兼ねなくポイントを使うことができるだけでなく、経理担当社員の急な退職や欠員に悩まされることもなくなります。当事務所の対応エリアは以下の通りです。

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