子育て世帯から見た
2024年度税制改正大綱3つのポイント

2023年12月14日、政府は2024年度の税制改正大綱を閣議決定しました。今回の改正では物価高対策としての定額減税に加え、現政府が注力する少子化対策へのテコ入れ策として様々な子育て支援策が盛り込まれることとなりました。

この記事では2024年(令和6年)税制改正大綱に盛り込まれた改正で大きく取り上げられた子育て支援策についてわかりやすく解説していきます。

税制改正大綱とはどんなもの?
どうやって決まるの?

例年12月に閣議決定し、リリースされる税制改正大綱は、翌年度以降の増税や減税などの新しい税制措置の内容や検討事項をまとめた文書です。

関連サイト総務省「令和6年度税制改正の大綱

税制改正大綱は与党の税制調査会(税調)という組織で決まり、その内容を受けて政府が改正案をつくり、通常国会に提出されます。

以前ほどではないにせよ、この税調やそのメンバーは税制改正において大きな権限を持つとされ、税制改正によって利害関係者である省庁・団体等から陳情のため日参されることがよくあります。

一方、税調の決定には減税・増税のいずれの方向もあり得ます。増税には国民から不評を買うことが一般的ですが、痛みを伴う改正は税調が担い、痛みの調整役を政府が担うなど役割分担があるのが実態です。

ただ、最近の傾向では官邸主導の流れが強くなり、今回の子育て支援策を含む2024年度税制改正大綱も政府の意向を大きく受けた内容になっているといえます。

2024年度税制改正大綱に盛り込まれ子育て関連の改正のうち、1.扶養控除の改正と児童手当の拡充、2.子育て世帯・若年夫婦の住宅ローン借入限度額の見直し、3.生命保険料控除も拡充の3本について順番に見ていきましょう

ポイントその1所得税と住民税の扶養控除の改正と
児童手当の拡充

2024年度税制改正大綱の中にある子育て世帯支援策の中でも最も目を引くのが、給付と税制を組み合わせた児童手当拡充と扶養控除の縮小です。

2011年にも、民主党政権下の児童手当拡充(子ども手当)とセットで15歳以下の年少扶養控除を廃止した経緯がありますが、今回も手当拡充と扶養控除縮小のセットの改正となる見込みです。

2024年度から所得にかかわらず児童手当の対象を18歳までの高校生などに拡大

まず子育て世帯にとってプラスの材料である児童手当の拡充についてみていきます。児童手当は子が中学生までの世帯に年12万円または18万円を支給し、24年10月からは対象を高校生までに広げ、第3子以降は年36万円にするものです。

対象となる子供の世代は塾などの教育費が多い年代であることを考慮した支援策と言え、所得にかかわらず恩恵を享受できる見込みです。この拡充された児童手当の支給は2025年から始まる予定です。

扶養控除の縮小は児童手当の拡充との併せ技でトータルプラスに

次にマイナスの材料である扶養控除の縮小です。16~18歳の子の扶養控除を所得税は25万円(現行38万円)、住民税は12万円(現行33万円)に縮小される予定です。

扶養控除の縮小は子育て世帯にとっては増税の材料となりますが、児童手当の拡充との併せ技で、政府の試算ではほとんどの子育て世帯において手取り額はプラスになると見込まれており、全ての子育て世帯で一定の恩恵が期待できそうです。

ただし、所得水準によって手取り増加見込み額は異なり、その恩恵は所得が低い層ほど大きく、所得が多くなるにつれて段階的にその恩恵は小さくなる見込みです。所得税については2026年から、住民税については27年度から適用開始するとしています。

ポイントその2住宅ローン控除の見直しで
子育て世帯・若年夫婦を支援

2024年から縮小された住宅ローン控除

住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、返済期間10年以上のローンを組み住宅を取得する場合に、年末の借入残高の0.7%が原則13年間、税額から差し引かれる制度で、住宅の環境性能が高いほど税額控除が大きくなる仕組みになっています。

しかし、以前に当コラムでもご紹介した通り、住宅ローンを組んで住宅を購入する場合、2024年入居分から対象となる借入額については引き下げが行われることになっています。

子育て世帯は住宅ローン控除でも優遇

しかし、子育て世帯などは24年に入居する場合に限り、上限額を23年入居と同額に据え置くこととしました。対象は

  1. 本人か配偶者のいずれかが40歳未満
  2. 19歳未満の子など扶養親族がいる

上記のどちらかに当てはまる人です。子育て世帯のみならず、将来子供を生むことが期待される比較的若い夫婦も支援の対象になってきます。

高校生以下の子供のいる世帯は学費のみならず塾などの習い事にかかる教育費に加え、住宅購入タイミングにも重なることが多いことから、子育て世帯・若年夫婦の住宅購入を後押しする効果が期待されています。

リフォーム促進税制にも子育て支援の流れ

従来からバリアフリーや省エネ対策などで住宅を改修した際、工事費用の10%を所得税額から控除するいわゆる「リフォーム促進税制」が存在しましたが、23年末に期限が切れる予定でした。

今回の税制改正では、現行の措置を2年間延長するとともに、育児に必要な工事「子育て対応リフォーム」が新たに対象に加わり、子どもの転落防止用の手すりや防音性が高い床の導入など子育て世帯で需要のある工事も対象に加わる予定です。

工事の限度額は250万円で、所得税の控除額は最大25万円となる見込みです。

ポイントその3子育て世帯は生命保険料控除も拡充に?

生命保険料控除とは?

生命保険料控除は、1年間に払い込んだ保険料に応じてその控除額が決まります。

2012年1月以降に締結した保険契約の場合、1.一般の生命保険料控除、2.介護医療保険料控除、3.個人年金保険料控除の3つについてそれぞれ控除額上限(所得税:4万円、住民税2.8万円)が決められており、3つを合計した控除上限額は所得税12万円、住民税7万円となっています。

関連サイト国税庁「No.1140 生命保険料控除

生命保険料控除 2012年1月1日以降に締結した保険契約の摘要限度額

支払った生命保険料に応じて、その年の所得から一定の金額が控除されることで課税所得が減り、所得税・住民税の負担が少なくなるものです。

生命保険で節税?子育て世帯対象の生命保険控除の拡充に向けた論議がスタート

今回改正の恩恵をうけられそうなのが、このうち1.一般の生命保険料控除です。子育て世帯においては、親に万が一のことがあった際の子育てへの影響を考慮する必要性があることから、控除上限額の拡充が検討されているものです。

具体的には一般の生命保険料控除(新契約)について、23歳未満の扶養親族がいる場合は、所得税の控除額の適用限度額が現行の4万円から6万円に引き上げることが論議されています。

ただし、1.一般の生命保険料控除、2.介護医療保険料控除、3.個人年金保険料控除の3つを合算した控除額上限は変わらず12万円のままとなる予定です。

生命保険料控除の改正はいつから? 生命保険を増額すべき?

生命保険料控除の拡充を通じた子育て世帯への支援は、2025年度税制改正において検討し、結論を出す方向で検討がなされている段階です。

また、住民税の限度額についての言及がまだなされていないことなどを踏まえると、まだこのあとの成り行きを見守る必要がありそうです。

さらに、1.一般の生命保険料控除の上限額が2万円アップしたとしても、実際の所得税へのインパクトは年間1000円程度になると思われます。(年収500万円の場合)

年間わずかな税負担軽減のために必要ない保険に加入してしまい、毎月保険料を払い続けるというのでは本末転倒になってしまいます。必要な保険だけしっかり吟味して加入するようにしましょう。

確定申告・相続税など個人の税金に関するご相談は
当事務所にお任せください

2024年度税制改正大綱では、子育て世帯への支援策拡充のみならず、定額減税の実施や賃上げ税制など様々な改正が盛り込まれています。とかく税金に関する話は難しく、誰に相談していいのかも迷うことも多いと思います。

廣瀬総合経営会計事務所では経験豊かな税理士、行政書士、FPなどが在籍しており、個人の確定申告や相続に関する様々なご相談を承っています。また、各分野に精通した専門家とも連携し、税金に関して起こりうる様々なトラブルへの対処方法へのアドバイスから記帳・申告まで一括サポート可能です。

当事務所の対応エリアは以下の通りです。

廣瀬総合経営会計事務所・相続相談の対応エリア

  • 杉並区
  • 中野区
  • 三鷹市
  • 武蔵野市

初回利用者向けの無料相談会も開催しておりますので、まずは一度お気軽にお問い合わせくださいませ。

(筆者注)通常税制改正は税制改正大綱をもとに税制改正法案が作成され、翌1月以降の通常国会の審議を経て4月に改正法が施行されることが通例です。そのため、国会審議の結果税制改正の内容は変更となる可能性があります。本記事は2024年1月15日時点の情報に基づき執筆されています。