令和3年分所得税の確定申告の準備

-申告が必要な収入をチェックしよう!-

個人事業者や不動産オーナーはもちろんのこと、経営者やサラリーマンでも一定の収入があるとき、所得税の還付を受けるときは、確定申告が必要です。注意したいのは、令和3年中に新型コロナに関連した支援金等を受けている場合は、収入として申告が必要な場合があることです。

個人事業者の確定申告で注意しておきたいこと

(1)支援金等は収入として計上

政府や自治体から事業のために受け取った補助金や新型コロナ関連の支援金等は、収入として計上しなければなりません。

◉緊急事態宣言・まん延防止等重点措置にともない受給した一時支援金や月次支援金
◉雇用調整助成金
◉事業再構築補助金
◉持続化給付金
◉家賃支援給付金
◉IT導入補助金
◉ものづくり補助金等

(2)家事費は業務上の経費にはならない

仕入代金、広告宣伝費、従業員給与、水道光熱費、その他事業に必要な費用は業務上の経費(必要経費)になりますが、下記は家事費となり業務上の経費として認められません。

◉自分や家族の生活費(家族と食事に行った費用など)
◉娯楽のための費用
◉医療費
◉家族に支払う家賃や給与(青色事業専従者給与を除く)
◉事業主自身の生命保険料(保険料控除の対象)
◉自宅部分の火災保険料
◉自宅の住宅□-ンの利息等

(3)家事関連費は合理的に按分する

店舗併用住宅の水道光熱費や地代家賃、事業と生活に利用する自動車の諸費用など、事業とプライベートの両方で使われている経費は家事関連費となります。
原則として、家事関連費は必要経費になりません。ただし、業務上必要な部分を明確にして合理的な方法で按分できれば、事業に必要な部分は必要経費になります。

給与以外の収入があると給与所得者も確定申告が必要

「売掛金が回収できないこと」には、なんらかの理由があるはずです。その原因を探り、問題を解決すること経営者(会社役員)やサラリーマンなどの給与所得者は、給与収入が年間2,000万円以下の場合、年末調整をすれば、原則として確定申告をする必要はありません。
ただし、以下のような給与以外の収入があると確定申告が必要な場合があります。

(1)役員と会社との取引によって得た収入

同族会社の役員が会社から受け取った以下の収入は、確定申告が必要です。

会社に賃貸している不動産の賃貸料
◉会社から受け取った貸付金の利息収入等

(2)満期保険金などの一時所得がある

以下のような収入は、一時所得として確定申告が必要な場合があります。
一時所得は、50万円を控除した残額に2分の1を乗じた金額によって所得税額を計算すること、さらに給与・退職所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告が不要となるため、一時所得の合計額が90万円を超えないときは、確定申告の必要はありません。

保険料負担者が受け取る生命保険や損害保険の満期保険金(一時金)、解約返戻金
ふるさと納税の返礼品(一般にふるさと納税額の30%程度が返礼品の額)
懸賞や福引きの賞金品等

(3)副収入がある

フリマアプリやネットオークションでの資産の売却、暗号資産(仮想通貨)の売却などによる収入は、一般的に雑所得となります。収入から仕入や経費を除いた所得が20万円を超えると確定申告が必要です。

(4)資産の売却による収入

不動産や金などの資産を売却したことによる収入は、讓渡所得として申告が必要です。
また譲渡所得から最高3,000万円の控除が受けられる特例を適用する場合や、マイホームの買替時の譲渡損失を給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)する場合には、確定申告が必要です。

(5)海外資産の運用による収入がある

日本国内の居住者が、海外の有価証券等の配当・利子、海外の不動産の賃料や売却などで得た収入は、日本と海外の両方で税金がかかり、原則、日本での確定申告が必要です。

確定申告によって税金の還付や所得控除が受けられるもの

(1)医療費控除

医療費控除を受けるには確定申告が必要です。申告には、医療費の領収書から作成した「医療費控除の明細書」を添付します。領収書の添付や提示は必要ありません(領収書は5年間保存します)。

(2)災害や盗難による損失

自然災害や火災による自宅や家財、自家用車への損害、盗難・横領などによる金品の損失などの一定の損害については、確定申告で雑損控除が受けられる場合があります。